三八式野砲


三八式野砲 平成21年3月3日

パプアニューギニア独立国・ニューブリテン島ラバウル・ココポ博物館

三八式野砲 三八式野砲
JAPNESE FIELD GUN
MODEL (1935)
Calibre 75mm
Weight 2438lb
Range 12000yds
Rate of fire 10 rounds per minute
Recovered from Tomaringa

三八式野砲

明治37年にロシアと開戦した日本軍砲兵は31年式速射砲(山砲)で、ロシア軍の3インチ速射砲と戦った。
その結果、日本軍より高性能のロシア軍火砲に対し、当然、近代式野砲装備の要求が起こった。
明治37年11月、ドイツ・クルップ社より最新型の砲身後座式野砲400門、および砲身素材400門を400万円で発注。
これが三八式野砲となった原型である。
残念ながら本火砲が日本に到着したのは日露戦争が終結した後で、実戦には間に合わなかったが、明治40年6月、同砲は三八式野砲として正式に制定された。
以後、三八式野砲は一部に改良を加えられたが、太平洋戦争終結までの長い間、日本陸軍師団砲兵に使用された。
三八式野砲の砲架は、発射に際して砲身が反動で後座する際、後座抗力を均等にするため、液体の流出抵抗を利用し、砲身後座の速度に応じて流出孔の面積を変化させる方式であった。
また、複座にはバネを使用していた。

口径 75mm
砲身長 233cm
重量 947kg
初速 520m/sec
最大射程 8,300m

(参考:『日本陸軍兵器集』 KKワールドフォトプレス 昭和57年発行)


砲身後座式三八野砲

明治37年11月、クルップ社に対し、砲身長後座式野砲400門と同素材400門分を注文した。
最初の条件は三十一年式速射野砲の弾薬をそのまま使用するはずだったが、翌38年の夏には日露戦争も先が見えてきたので、野砲の受領はあまり急がなくなった。
そこで仕様を一部変更し、弾量を6.5キロとして、初速を520mに高めることをクルップ社に要求。
最初に到着した一門で各種試験を行い、それまでの分離薬筒ではなく、完全薬筒を採用することに変更した。
クルップ社に注文した400門は明治38年7月から39年6月に到着。
その後、砲身素材を受領。
大阪砲兵工廠で明治40年3月から製造を始め、5月には月産6門、明治41年5月には36門を製作した。
砲身番号1000番までは分離薬筒式。
大正3年9月に全て完全弾薬筒式となる。
最大発射速度は20発/分
平地において射距離5800m以上のときは、架尾の掘開を必要とした。

(参考:佐山二郎著 『大砲入門』 光人NF文庫 1999年発行)

(平成24年1月16日追記)


【砲身長後座式の構造】

火砲の威力を最大に発揮するには精度のよいことと、発射速度が大きいことが必要条件。
この条件を満たすには、射撃している間、砲架が動かず、砲手は砲架上に安定して射撃が続行されなければならない。
この要求に応じて発明されたのが砲身長後式火砲である。
この野砲は砲身と砲架の間に揺架があり、この揺架に駐退機と複座機が取り付けてある。
駐退機の仕組みは、駐退機の筒の中に入っている粘度の高い液体が、駐退機活塞頭の後退に伴って小さい漏孔から押し出され、後座している間は均一な後座抗力を砲架に伝える。
この後座抗力は後座長が長くなれば小さくなるので、火砲全体の構造上許される限り、長い後座をさせる傾向がある。
三八式野砲の場合は1.2メートルの後座長である。
この後座した砲身を元の位置に戻す機構が複座機である。
これは後座する間に複座機内に収容してあるバネまたは圧縮気体を更に圧縮し、後座が終れば圧縮されたバネまたは圧縮気体が反発して、砲身を含む後座体を元の位置に戻す仕掛けである。
フランスの野砲は気体の窒素を使用し、ドイツの野砲はバネを使っている。
従ってドイツから輸入した火砲などはバネ式複座機であるが、国産である三八式野砲もバネ式複座機である。

【発射速度】

完全弾薬筒を用いて、20〜25発といわれたが、実用速度は12発前後であった。

【方向射界】

揺架の転把旋回は7度。
開脚式砲架になるとさらに50度に拡大して、動目標への射撃だけでなく火力の横方向の機動を著しく容易にした。

(佐山二郎著 『大砲入門』 光人NF文庫 1999年発行)

(平成24年3月27日追記)


【三八式野砲】

1分間に10〜12発を撃つことができ、砲身を左右や上下に向けるハンドルはいずれも砲身の左側についている。
三八式野砲の特徴は、発射の反作用で後退する砲身のエネルギーを吸収するのに水圧を用い、もとの位置へ砲身を自動的に戻すにはバネを応用した点であった。

(参考:木俣滋郎 著 『陸軍兵器発達史』 光人社NF文庫 1999年発行)

(平成29年2月14日 追記)




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