四式20センチ噴進砲


四式20センチ噴進砲 平成18年11月22日

四式20糎噴進ふんしん

この砲は硫黄島で玉砕した小笠原兵団(兵団長栗林忠道中将)に配属された噴進砲中隊(長・横山義雄大尉)の装備、四式20糎噴進砲である。
噴進砲中隊は昭和20年2月19日上陸した敵に対し、甚大な損害を与え一時その進攻を食い止めた。
全弾撃ち尽くした後も、鹵獲ろかくした銃によって粘り強く持久戦を続け遂に全員散華さんげされた。
噴進砲は、砲と名付けられているが実は噴進榴弾ふんしんりゅうだん(ロケット)の発射装置である。
噴進榴弾は自分の固形燃料で飛翔ひしょうし、しかも自体の推力調節により飛距離の調整ができたので、一般の火砲とくらべ射距離・命中精度は落ちるが、簡単な構造で、運搬・移動が容易であった。
この砲は戦後長期間その戦跡に放置され腐朽ふきゅう寸前にあったが、玉砕された硫黄島将兵の慰霊顕彰の象徴とするため、各方面各位の協賛と奉仕により送還・復元され、靖國神社に奉納された。

平成15年8月15日
財団法人偕行社

(説明板より)

四式20センチ噴進砲



四式20センチ噴進砲
(東京・靖国神社遊就館)





(平成18年11月22日)

説明板 (説明板より)


【噴進砲】

鉄の枯渇が激しくなった昭和18年頃から、それまでに研究されていた7センチから40センチまでの噴進砲を、離島防衛および本土決戦用として実用化する機運が高まった。
このうち20センチと40センチが整備の対象となる。
7センチは対戦車用として、9センチは空挺部隊用として研究が続けられた。
20センチ以上の噴進榴弾は翼のない砲弾状のもので、弾尾の噴気孔から噴進薬のガスを噴出し、旋動しながら飛んでいく。
噴進薬が燃焼する時間は1.2秒から1.7秒。

【試製四式20センチ噴進砲】

口径203ミリ、放列砲車重量227.6キロ、砲身長1920ミリ、高低射界40〜65度。

【試製四式20センチ木製噴進砲】

制式は金属製の発射筒だが、部隊で容易に製作できるように木製の発射台も制式化された。
木製でも十数発の発射は可能で、大戦末期に配備された。

【四式船載20センチ噴進砲】

大発動艇に搭載したもので、金属製だが、陸上用と同じく木製噴進砲も試製された。

【20センチ噴進弾】

弾種:榴弾
最大射程:2500m

(佐山二郎著 『大砲入門』 光人NF文庫 1999年発行)

(平成24年3月26日追記)


【四式20センチ噴進砲】

陸軍技術本部は昭和6年より10年余にわたってロケットの研究をしてきた。
ロケットの強みは自分で飛んでいくので、大砲のような大掛かりな兵器で押し出してやる必要はない。
そのためロケット砲は大砲と比べると持ち運びが簡単で、その割には大きなロケット弾が飛び出すのが最大の魅力。
ましてや普通の砲弾と違って高い圧力で撃ち出すのではないから、ロケットは固くて丈夫な弾丸とする必要もなく、精巧で大規模な工場設備もいらない。

ロケット弾は炸薬をギッシリと詰めて、敵兵の集団の中に射ち込むのに適している。
反対に厚い徹甲弾ではないから戦車や要塞などの装甲を撃ち抜く点では普通の砲に及ばない。
ロケット弾のスピードは野砲弾の3分の1程度と遅く、迫撃砲弾の初速に近い。
ロケット弾の欠点は、自分で火薬を燃焼させて飛んで行くので、飛んでいるうちに重心が変わり、命中精度が極めて悪くなるところである。
尾部に爆弾のようなヒレを付けて砲弾を安定させても、方向の誤差が生じてしまうのだ。
射程距離も短く、四式20センチ噴進砲は、性格のよく似ている九六式15センチ中迫撃砲の6割(=最大射程2400メートル)しか飛ばない。

四式20センチ噴進砲弾は普通の砲弾の後部に棒状になった7本の推進火薬を束ねて付けたものだったので、砲弾はヒョロ長く、長さ1メートルにも達した。
噴進砲は迫撃砲とよく似た筒だが、後ろ半分が蝶番ちょうつがいで上方に開くようになっていた。
だから迫撃砲のように砲口から弾丸を込めるのではない。

噴進砲1個中隊は50名よりなり、70門ものロケット砲を用意したという。

(参考:木俣滋郎 著 『陸軍兵器発達史』 光人社NF文庫 1999年発行)

(平成29年2月18日 追記)


【陸軍噴進砲・四式20センチ噴進砲】

噴進弾は、全長102センチの尖頭砲弾型で、前部に瞬発信管と炸薬の入った弾頭、後部に7本の棒状燃料の入った推進体(ロケット)が収められている。
弾底の側面にも噴出孔があり、そこから出るガス量を調節して、射距離の修整ができるようになっていた。
噴進砲と呼ぶ発射筒(ランチャー)は、肉薄の鋼管で、発射筒、支持脚、床板の3つの部品でできていた。
噴進弾の弾底にネジでとめた門管と呼ばれる管があり、その管に拉縄りゅうじょうという縄がついている。
この縄を引っぱると摩擦により弾底の点火薬室に火がつき、ロケットの噴進火薬が爆発して、その緩やかに燃焼するガスの推進力で空中を飛ぶ。
支持脚、床板が敵の砲弾で破壊されたときは、断面が三日月形をした樋とい状の木製発射台によって撃つこともできた。
木製の発射台には、単装と三連装のものがあった。
20センチ噴進砲の弾体全重量は83.7キロ、秒速175メートル、最大射程2400メートル。
ロケット弾であるため、榴弾砲にくらべると命中精度が低かったが、敵が密集する上陸地点などに撃ちこめば、大きな被害を与えることができた。

(参考:津本 陽 著 『名こそ惜しめ〜硫黄島 魂の記録〜』 文藝春秋 2006年12月 第3刷発行)

(平成29年4月4日 追記)


【噴進砲】

ロケット弾には欠点が多い。
弾道が不安定で、命中率も悪く、射程距離も短い。
このような欠点にもかかわらず、昭和19年に入ると、普通の大砲を作る工場が手一杯のため、町工場でも簡単に生産できる噴進砲の装備を急ぐことになった。

(参考:木俣滋郎 著 『幻の秘密兵器』 光人社NF文庫 1998年8月発行)

(平成31年4月18日 追記)




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