土光敏夫　どこう・としお

明治２９年（１８９６年）９月１５日〜昭和６３年（１９８８年）８月４日

東京高等工業卒。
大正９年（１９２０年）東京石川島造船所に入社、昭和１１年（１９３６年）石川島芝浦タービンに移り、昭和２１年社長となる。
昭和２５年（１９５０年）石川島重工業社長として合理化による経営再建を図り、昭和３５年（１９６０年）に播磨造船との合併で石川島播磨重工業を設立した。
昭和４０年（１９６５年）には東京芝浦電機の社長として経営再建を果たす。
昭和４９年（１９７４年）以降は経団連会長・第二次臨時行政調査会会長・臨時行政改革推進審議会会長を歴任。
石油危機以降の経済運営の転換、「増税なき財政再建」などの行政改革推進に尽力した。

土光敏夫先生記念苑 （岡山県岡山市天神町） 公園の中心にあるのが『土光敏夫先生顕彰碑』です。 （平成１６年１０月３日）

　顕彰碑のレリーフ

銘板碑文

土光敏夫先生の生涯は　日々新たな精進の積み重ねである
失敗を恐れず終生チャレンジ精神を持ち続け幾多の難関を打ち破ってこられた
晩年に及び　国の行政改革を担うや　日本の将来を思う強い決意をもって全力を尽くされ「社会は豊かに　個人は質素に　思想は高く　暮らしは低く」の信条を自ら実践された
「メザシの土光さん」と親しまれた先生の質素な生活　率先垂範の行動は多くの人々に感動と勇気を与えた
我が国の将来に新たな飛躍の礎を築かれた先生の御功績を　後世の人々に永く伝えるため　多くの人々の浄財により　先生ゆかりの地岡山に之を建立する

平成３年１１月吉日
土光敏夫先生顕彰碑建設委員会

土光先生略歴（銘板より）

明治２９年
岡山市北長瀬に生れる
関西中学校　東京高等工業学校卒業
石川島播磨重工業社長　東京芝浦電気社長などを経て昭和４９年経済団体連合会会長に就任
昭和５６年３月
臨時行政調査会会長
昭和５８年７月
臨時行政改革推進審議会会長
昭和５４年
岡山市名誉市民
昭和５６年
岡山県名誉県民に推される
昭和６１年
勲一等旭日桐花大綬章を受章
昭和６３年８月４日
没す（享年９１歳）

経歴

明治２９年９月、日蓮宗の信仰の厚い岡山県の農家の二男として生れる。
中学の入学試験に二度失敗した後、大正６年、東京の蔵前高等工業学校（東京工業大学の前身）に入学し、エンジニアへの道を目指す。
大正９年、石川島造船に入社し、タービン設計部門に配属。
入社１年半後、スイスのチューリッヒにあるエッシャー・ウイス社に蒸気タービンの国産化のための研究留学を命じられる。（２６才）
２年半の滞在を終えて帰国。
以後、タービン技術者一筋に生き、後に過給器やジェットエンジンの設計も手がける。
土光は日本にジェットエンジン技術の根を下ろさせる決定的役割を果たした人だといわれている。
昭和１１年６月、石川島と東芝が出資し、それぞれのタービン部門を独立させて合併して、タービン専門の製造会社「石川島芝浦タービン」が設立され、土光は新会社の技術部長となる。
石川島から新会社に移った直後、アメリカのＧＥ社に８ヶ月間派遣され技術を吸収する。
昭和１９年３月、前任者の急死により石川島芝浦タービンの最高責任者となる。
昭和１９年秋、迎撃戦闘機「火龍」用ターボジェットエンジン・ネ１３０の開発の総指揮を取る。
昭和２５年６月、従業員わずか５００〜６００人の石川島芝浦タービンの社長から親会社である従業員５，０００人の石川島重工（のちの石川島播磨重工）の社長に抜擢される。
この異例の抜擢は、戦後の混乱期に石川島芝浦タービンを立て直した手腕を買われたからだといわれる。
石川島重工社長として大型合併を次々と敢行し、一時は世界一の建造量を誇る造船企業に育て上げた。
昭和３９年１１月、会長に退く。
昭和４０年５月、経営不振の東芝の再建のため請われて社長に就任する。
担ぎ出したのは一期前の東芝社長で経団連会長の石坂泰三。
石坂は土光の生涯の恩師で相談相手だった。
その後、電機産業の成長期とともに徹底的な合理化と内部からの意識改革で東芝を復活させた。
昭和４９年５月、石坂泰三の要請で経団連会長に就任。
昭和５６年３月、第二次臨時行政調査会会長に就任（”土光臨調”）

参考文献：前間孝則著「ジェットエンジンに取り憑かれた男」

（平成１７年６月２５日追記）

【土光敏夫の最期】

行革審が解散された８９歳の頃には足が不自由になり車椅子生活を送る。
「もし、死後の世界が極楽と地獄に分かれているのであれば、わしはためらわずに地獄に行く」「閻魔えんまさんや鬼どもをからかって遊ぶのも、それはそれで一興いっきょう」と笑っていたという。
その数日後、９１歳で老衰のため死去した。

(平成１７年１０月１９日追記）

臨調

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