伊号第10潜水艦


嗚呼 伊号第10潜水艦の碑



嗚呼 伊號第十潜水艦
(長崎県佐世保市・佐世保東山海軍墓地





(平成20年11月23日)

碑文

南十字星輝く南海に青春をかけて祖国のため戦い散華した伊号第十潜水艦将兵のみ霊にこの慰霊碑を捧げその勲を永久に讃える

昭和57年4月18日 建之

伊号第10潜水艦戦歴
昭和16年神戸川崎重工において竣工
同年11月横須賀出撃以来南太平洋・東太平洋・印度洋・中部太平洋等各海域に転戦
9回の作戦行動に従事し20万海里余を走破、抜群の戦果をおさめたが昭和19年7月サイパン島東方において壮烈な最後を遂げた。

主要戦果
敵船撃沈破17隻余 敵要地飛行偵察及び潜航偵察十余回 訪独潜水艦伊号第8潜水艦に対する支援補給 印度洋作戦において映画「轟沈」の主役艦として活躍

昭和62年9月21日

(碑文より)

嗚呼伊号第10潜水艦
一等潜水艦
昭和16年10月31日川崎で竣工
同日付で本籍を佐世保に指定された

昭和18年10月以降、佐世保在籍の第30潜水隊(伊162・伊165・伊166・呂110・呂111・呂112)の6隻に伊10潜を加え、インド洋の交通破壊戦が実施された。
戦果は大きく、我が方には喪失なし。
「轟沈」の映画と主題歌はこの時の様子を写し、唄ったもの。
昭和18年12月中旬、いったん佐世保に帰投。
翌19年2月3日、再び出撃しトラックに向かった。
6月14日、グアム東方海面に向かい、16日にはマリアナ諸島南東の散開配備につく。
21日には第6艦隊司令部等の救出のためサイパンに向かうが、24日になるもサイパン島東岸タロホホ河口に到着せず、27日正午の位置(サイパンの北東40海里)を報告したまま消息を絶つ。
米側の資料によると、7月4日午後5時4分、艦隊直衛中の米駆逐艦テーラー及び護衛駆逐艦ビドルがサイパン東方においてソナーをもって潜水艦を探知。
ヘッジホッグ及び爆雷で攻撃。
午後6時28分、水中爆発があり、浮遊物が発見された。
地点は北緯15度26分、東経147度48分。
慰霊碑は昭和57年4月18日建立。
中島艦長以下113名の霊を祀る。

(参考:社団法人 佐世保東山海軍墓地保存会発行 『佐世保東山海軍墓地 墓碑誌』 平成20年第3刷)


【甲型】

通信設備を強化した旗艦施設をもつ潜水艦が望まれ巡潜3型が造られたが、無条約時代を迎え新たな旗艦潜水艦として計画されたのが本型。
甲型改1は製造が簡単な4サイクルディーゼルを採用し、伊12以降5隻が造られる予定だったが、特潜型の建造数が足りなくなったため、伊13以降は「晴嵐」攻撃機2機を搭載する改2型として建造された。

要目(伊9・昭和16年)
常備排水量:2919トン
潜航時排水量:4150トン
機関出力:水上1万2400馬力/水中2400馬力
速力:水上23.5ノット/水中8ノット
航続距離:水上16ノットで1万6000浬/水中3ノットで90浬
兵装:14cm単装砲×1
    25mm連装機銃×2
    53.3cm魚雷発射管×6
飛行機:射出機×1、偵察機×1

同型艦
甲型 伊9、伊10、伊11
甲型改1 伊12
甲型改2 伊13、伊14

(参考:『歴史群像2006年2月号別冊付録 帝国海軍艦艇ガイド』)


伊号第10潜水艦

偵察用航空機を搭載した「巡潜甲型」の2番艦として昭和16年10月31日に竣工。
ハワイ作戦・インド洋作戦・トラック作戦・マリアナ作戦に参加。
昭和18年1月30日、オーストラリア東岸沖でリバティー船サムエル・ゴンパースを撃沈。
昭和18年6月、ペナンからインド洋に出撃し、7月1日と6日にドイツに派遣される伊8潜に2度の燃料補給を行う。
その後、インド洋で交通破壊戦を行い、7月23日、ノルウェー・タンカー「アルシデス」(7634トン)を撃沈。
9月14日にノルウェー・タンカー「ブラモーラ」(6261トン)を撃沈。
9月24日、アメリカ・貨物船「エリアスホーエ」(7176トン)を撃沈。
10月2日、ノルウェー・貨物船「ストービーケン」(4836トン)を撃沈。
10月5日、ノルウェー・タンカー「アンナコーディーン」(9057トン)を撃破。
10月24日、イギリス・貨物船「コンゲーラ」(4533トン)に最後の魚雷2本を発射するが当たらず、砲撃で撃沈する。
昭和19年5月9日、横須賀を出港してマーシャル東方に進出し、メジュロ泊地を偵察した後、サイパンの第6艦隊司令部救出作戦のためグアム方面に向かうが、6月28日以降消息不明となる。
昭和19年7月4日、サイパン島付近にて米護衛駆逐艦デヴィッド・W・テーラーとリッドウルの協同攻撃により撃沈される。(艦長:中島清次中佐)
艦長以下113名全員が戦死。
ちなみに伊10潜の撃沈数15隻は、日本海軍潜水艦のトップ・スコアーである。

(平成23年5月29日追記)




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