7.私は何者?

(マニラ~帰国)


 平成24年(2012年)4月28日 (4日目)

無事にチェックインを終え、スーツケースをボーイが部屋まで運んでくれた。
で・・・
「お仕事で来たんですか?」「何日滞在するんですか?」等々の質問攻め・・・(汗)
「今日一晩だけ泊まって明日、日本に帰る。」
仕事じゃなくて・・・これ、何ていえばいいのだろう?
英会話は苦手なのだが、今までの旅の話を手短に伝える。
が・・・ピンとこないらしい・・・まぁ、そうだろうねぇ~(苦笑)
「今からどうするんですか?」
「ん?本を読んで・・・あと、書き物がちょっとあるから、それをする」
私の説明が下手なせいで・・・
「書き物」って言っても、大したものじゃないんだけど、彼は私を「小説家」と思ったらしい。(大笑)
どんな本を書いてるのか、何冊出版したのかと、やたらと興味をもつ。
え~・・・なんと答えてよいものやら・・・(汗)
どうもフィリピン人というのは、「物書き」の人を尊敬するようである。
「歴史関係だよ。特に戦争関係・・・ミリタリー・ヒストリアンなんだ」と言ったら、益々尊敬の眼差し!(・・・と、私には見えた・・・)(笑)
というわけで・・・私は、「戦史研究家で作家」・・・ということになった。(大笑)
う~ん・・・これ、肩書き詐称かな?
まぁ、いいや・・・・細かい説明をするのは面倒くさい・・・(大笑)

このホテル・・・・
いつの間にか全室禁煙となっていた!(涙)
去年泊まった時には喫煙できる部屋があったのに・・・・愕然・・・である。
で・・・喫煙所は、玄関の外の隅・・・
いちいちエレベーターに乗って1階まで降りてタバコを吸わねばならぬ。

喫煙所に着いたら、昨年、破格のチップをあげたガードマンが吹っ飛んできた!(大笑)
彼は「久しぶりです!」と両手で私の手を握り大喜び。
通常のチップの10倍以上の額をポンと、子供の為に使えと渡したのだから、私の事を忘れるわけはないか。(大笑)
「いつまでいるんですか?」と言うので「明日には日本に帰る」と言ったらガッカリされた。
だって・・・マニラには用事なんてないんだもん!(笑)
「じゃぁ、明日の朝、子供達の写真を持ってきますから!」と言う。
「おお!君の子供・・・写真見たい!」

全室禁煙室になったことへの文句を言ったら・・・(笑)
中国人と韓国人は、禁煙なのに平気で部屋の中でタバコを吸っているという。
部屋の中がタバコ臭くなって大変だという。
「あいつら、マナーが悪いなぁ~」と言ったら「本当に、彼らはマナーが悪いですよ!」と言う。(大笑)
あ~でもねぇ、こ~でもねぇと久しぶりにおしゃべり・・・
その間は・・・同僚のガードマンが彼の仕事を肩代わりしてくれた。(笑)
「ホテルのオーナーが若い人ばかり雇って古い人間のクビを切るんですよ。僕ももう7年も勤めていて、同期はみんなクビになっているので、いつクビを切られるかわかりません」と言う。
「へぇ~もう7年も経つのか?俺はね、君がいるからこのオンボロホテルに泊まってるんだからね。君が辞めたらこのホテルには泊まるのはやめて別のホテルにするから」と言ったら彼は大笑い。
「そうですよねぇ~綺麗な新しいホテルがいくらでもありますからね」と言う。
とにかく・・・仕事に戻ってちょうだい!(笑)
また、明日会いましょう・・・ということで、久しぶりの会話を終える。
スタッフとのこういう会話も、私がこのホテルに泊まる楽しみの一つでもあるのだ。

今日の夕方は、フィリピン人の女友達と会うことになっている。
先月、台湾に行く時に、成田空港で一緒にコーヒーを飲んだ女の子である。
偶然にも同じ日、同じ時間に同じターミナルにいたので、会ったのだが・・・・
こういうのも何かの縁と彼女は大喜び・・・
で・・・今回は、彼女がフィリピンに帰っている時に私がフィリピンに来たわけで・・・
これまた大喜びで・・・ホテルに会いに来るという。
いやぁ~そりゃマズイと断ったのだが・・・
断れば断るほど疑惑が生じてしまうのである。
“女”がいるんだろう・・・って・・・(大笑)

日本人の男とフィリピン人の女・・・という組み合わせはマズイ・・・
特に、私の場合はホテルの従業員から尊敬(?)されているわけですから・・・(大笑)
他の日本人男性と同類だとは思われたくないのである。
「日本人の男と一緒にいると売春婦と間違えられて嫌な思いをするから止めたほうがいい」と言ったのだが・・・
フィリピン人の女性というのは、強引というか、自分勝手というか・・・
どうしても会いに来ると言って・・・やって来た・・・(涙)

ビシッとスーツで決めて・・・
これなら売春婦には間違えられることはないという。
普通の売春婦はTシャツにGパンだから・・・この格好なら大丈夫だという。
そうなの?高級コールガールと間違えられるんじゃないの?(大笑)
彼女は憮然として・・・この格好はフィリピンでは学校の先生の格好だという。
さっきも警察に止められた時に警官から「学校の先生ですか?」と尋ねられたという。
警官が学校の先生と間違えるくらいだから、売春婦には見えないから大丈夫だという。
(よくわからん理屈だが・・・)(苦笑)
「ところで何で警察に捕まったんだ?」(笑)
彼女はドライバーを雇って車に乗ってやってきたのだが、マニラ市内でドライバーが車線を間違えて走行して警察に捕まったのだとか・・・(唖然)
マヌケなドライバーである。

夕食をホテルの近くの中華レストランで食べることにする。
2人で食事というのも目立つだろうから、ドライバー君も誘って3人で食事することにする。
これならば、あまり目立たないだろう。

ホテルを出る時に、従業員達が一斉に私に敬礼をした・・・
「なんでみんな、あなたに敬礼するの?」と彼女。
「う~ん・・・俺のこと軍人だと思っているみたい・・・」(笑)
私から軍人のオーラが発しているに違いない・・・
なにせ、大日本帝国陸軍軍人の血を引いておるからネェ~(大笑)

この中華レストランに最後に来たのは8年以上も前のことである。
が・・・
「シャチョ~!イツモ、アリガト、ゴザイマス!」と従業員・・・
俺・・・“いつも”は来ていないんだけど・・・(笑)
「シャチョォ~!コッチヘ、ドウゾ・・・オヒサシブリデス!」
俺・・・あんたのこと知らないんだけど・・・(大汗)
今度は「いつの間に、あなたは社長になったの?」と彼女が笑う。
「日本人の男は誰でも“社長”って言われるんだよね。これ、フィリピンでは常識だよ」(笑)
「さっきは敬礼されるし、今度は社長と呼ばれるし・・・あなたは何者なの?」と彼女に笑われる。

夕食

食べたいものをバンバン食べてくれぇ~(笑)
ドライバー君は「こんな豪華なご馳走を食べたことがない」と大喜びである。
ん?そうか?・・・やはり日本人は恵まれすぎているのかもしれない・・・
レストランのボーイが2名、我々のテーブルに付きっ切りで“お世話”をしてくれる。
「なんで私達のテーブルだけサービスがいいの?」と彼女は大笑い。
う~ん・・・チップが欲しいだけではあるまいか?(笑)

食事を終え、お世話をしてくれたボーイ2人にチップを奮発して店を出る。(笑)
さて・・・これからどうしようか・・・
マニラ市内の超高級ホテルのラウンジへ行って生演奏を聞きながら軽く飲みのはどうかと彼女・・・
というわけで、彼女が乗って来た車で出かけたが・・・
そのホテル・・・目の前まで来ているようなのだが、到着しない。
ドライバー君は「知ってます」と言っていたが・・・どうも怪しい・・・
グルグル走り回るだけで、どう考えても場所を知らないようである。
知らないなら知らないと正直に言えばいいものを・・・どうも「ドライバー」というのは、いい加減な連中が多い。
さすがにもう1時間も走り回っているのである!
ご馳走を食べさせてもらったので、逆に「知りません」とは言えなくなったのだろうか?(笑)
アホか!
遂に・・・私はプッツン・・切れた!(怒)
「やめ!別のホテルに行くぞ!」
“別のホテル”は、以前、某遺族会の慰霊団にガイド役として同行したときに一度だけ泊まったことのあるホテルである。
いつも私が泊まるホテルより数段高級なホテルである。(汗)
遺族会って、こういう高級ホテルに泊まるのか・・・と呆れたものである。
しかも、その時には、日本遺族会の慰霊団も宿泊していて、ドンチャン騒ぎの宴会をしていた。
遺族会が高級ホテルで宴会ねぇ~・・・・唖然・・・・

この時に、ここのスカイラウンジで一人で酒を飲んだ。
なかなか雰囲気のいい生演奏と歌をやっていたのを思い出し、ここへ行く事にしたのだが・・・
あれ???
店内の雰囲気は変わっていないが、ステージに登場したのは3人の若いフィリピン人の女の子たち・・・
ミニスカートはいて・・・イェ~イ!乗ってるか~い!・・・である。
あらら・・・雰囲気が台無しである。
「レディ・ガガの真似をしてる感じ・・・」と彼女・・・
私は「レディ・ガガ」というのは知らない・・・なに、それ・・・歌手?(苦笑)
どうして、こういうのをやるかなぁ~
ここは高級なスカイラウンジでしょ?
いやはや呆れてしまった。
飛んだり跳ねたり・・・ではねぇ~
もっとシックな歌でなければ・・・

で・・・水割りを2杯だけ飲んで帰る事にした・・・(笑)
駄目だ・・・こりゃ・・・
と・・・ラウンジのマネージャーがエレベーターのところまで、わざわざお見送りしてくれた。(唖然)
またもや・・・「え?なんで?あなた・・・VIP?」と彼女が苦笑・・・
それにしても、あ~あ~すごく時間を無駄にした感じである。

ホテルまで送ってもらって彼女とはお別れ。
彼女の家は、ここから1時間かかるという。
時刻は午前0時・・・あらら、御苦労様・・・である。(笑)

さて・・・酔い覚ましにコーヒーを飲もう・・・
と・・・ホテルの向かい側のコーヒーショップに行こうとしたら、ホテルのガードマンが付いて行くという。
直ぐ目の前だし・・・別に一人でも大丈夫だと思うが・・・
「危ないですから、ボディガードをします!」と言ってきかない。
このガードマンも、もう何年も前からの知り合いである。
で・・・留守を預かっているもう一人のガードマンにコーヒーのお土産を買ってあげ、ボディガードの彼にはチップを渡す。
う~ん・・・体格からして、私のほうがボディガードっぽいんですけど・・・
まあ、いいかぁ~
気持ちの問題だからね。(笑)

それにしても、フィリピン最後の夜・・・
すごく時間を無駄に過ごしたような気がして面白くない・・・
すご~く損をした気がして仕方がない・・・・(大笑)
が・・・彼女は私に会えて喜んでいたから、それでヨシとするか・・・

 平成24年(2012年)4月29日 (5日目)

今日は日本に帰る日・・・・
まずは・・・タバコを一服!(笑)
ホテルの玄関の隅の喫煙所へ行ってタバコを吸う。
と・・・例のガードマン君が、子供の写真を持ってやって来た。(笑)

「これが長男で、僕に似ていて、これが次男で、こっちは妻に似ているんですよ」と言う。
が・・・
私は、彼の奥さんには会ったことはない。(当たり前だが・・・)(笑)
どっちの子も父親似のような気がするのだが・・・(大笑)
う~ん・・・“親バカ”は国籍を超えて共通のようである。(笑)

子供達がヤンチャでアルバムを破いてしまうので、手の届かない高いところに置いてあると言う。
で・・・そこから剥がして写真を持って来たと言う。
いやはや、そこまでしなくてもいいのに~(苦笑)
子供はどこの国でも同じようである。
ヤンチャぶりが目に浮かぶ。(笑)
今回は、子供におもちゃでも買ってあげるようにとチップを渡してあげる。

「何時に空港へ行くんですか?」とガードマンの彼・・・
「え~と・・・11時にチェックアウトして空港に行く予定だけど・・・」
「昨日の女の人が迎えに来るんですか?」
「ん?女の人?ん?誰だ?」
「ほら、昨日、一緒にいた女の人ですよ」
ゲゲッ・・・そうだ・・・昨日、女友達に会っていたのを忘れていた。(汗)
「あれ?彼女は友だち・・・ピュアーな関係だからね。本当にピュアーな関係だから、誤解するなよ」
彼はニヤニヤする。
「いや、本当だってば!俺を信じろよ。ジャスト・フレンド!ただの友達だから・・・」
おい、おい、ちゃんと俺の英語通じてる?(大汗)
「はい、はい・・・で、迎えに来るんですか?」
「いや、迎えには来ないよ」
「僕が空港までお送りしたいんですけど・・・」
「いや、その必要はないよ。旅行社の車が迎えに来るから・・・」
「そうですか・・・」
彼は明らかにガッカリしたという顔をした。(大笑)
毎回、高額な(?)チップをもらっていたのでは何かしないと悪いと思ったのだろう。
私は、何も要求をしたことがない。
ただ、彼の子供達に“小遣い”を渡しただけのことである。
何か御礼をしなければ・・・という気持ちはわかるが・・・
その気持ちだけで充分である。
本でも買って読んでやって・・・上手に育ててもらいたい・・・
「今度はいつ来る予定ですか?」
「来年かなぁ~」(笑)
「また、来年ですか?今度は少し長く滞在して下さいよ」(笑)
「OK!考えておくよ~」

多くの日本人が海外へ行くが・・・・
現地の人とどれだけ“純粋な”交流をしているだろうか?
いくら海外へ行っても、それがなければ“国際的”な人間にはなれないのではなかろうか?
団体で行動をし、免税店で買い物をし・・・ではねぇ~
下手な片言英語でもいいから、大いに現地の人と話をしなければ・・・
世界平和もクソもなかろうと思うんですけど・・・

私の知り合いの生還者でこういう人がいた・・・
終戦時に、フィリピンゲリラに捕らえられたこの人・・・
同じように捕らえられた日本兵が次々と首を斬られて処刑されていく・・・
次は自分の番だという時に、処刑を見に集まっていた人混みの中から「その日本兵はいい人だから殺さないで欲しい」とフィリピン人の女性が声をあげたという。
おかげで首を斬られる寸前に命を助けてもらい、米軍に引き渡され捕虜収容所に送られ、後に日本に生還した。
この人は、後ろ手に縛られ、首を突き出させられた格好だったので、この女性の足しか見えなかったので、この女性が誰なのか分からないという。
もし、今でもこの女性が存命ならば、是非会ってお礼を言いたいと言っておられたが・・・
残念ながら一昨年、天寿を全うされた・・・
この人は、日本軍が統治していた時に、現地の人と交流を持っていたのだろう。
日本軍が負けて、報復の嵐が吹く中、日本兵の命を助けようとしたこのフィリピン女性の勇気も大したものである。
一つ間違えれば、親日派だということで、この女性自身が処刑されかねない。
この勇気ある女性が誰なのか分からないと言うのだから、この方は特定の女性に対して親切にしていたわけではなさそうである。
広く、多くの現地人と付き合っていたのだろう。
日本兵は必ずしもフィリピンで悪いことばかりしていたわけではない・・・ということである。
かといって、この方のように、特別、現地人に良いことをしたという意識もない・・・
ごく普通に接していただけなのだろうと私は思う。
こういうことが大事なのではあるまいか?
教訓である・・・・

11時にチェックアウトしてロビーで迎えの車を待つ。
と・・・フィリピン人から「オヒサシブリデス!」と声をかけられた。
「オゲンキデスカ?」などといわれてもねぇ~(大汗)
はて、どこかで会ったことがあるような・・・ないような・・・(苦笑)
「俺は車を待っているんだけど・・・」
「はい・・・」
「え~と・・・あなたは誰でしたっけ?」
「運転手です」
「はぁ?」
最初に、「お迎えに上がりました」って言えよ!(大笑)
誰かと思ったぞ!
私を迎えに来たドライバーだったのである!(唖然)

彼は10年ぐらい前に私を空港に送ったことがあると言う。
そんな昔のことを頭の悪い私が覚えているわけがない!(大笑)
「で・・・何してんの?車は?」
「“サンデー”と、ここで待ち合わせしてます。少し待って下さい」と言う。
旅行社の送迎担当職員の“サンデー君”がホテルにやってきて、ここで合流して空港へ送ってくれることになっているという。
私は今日の送迎については“ステラさん”から「誰かが迎えに行くと思います」としか聞いていないのである。(汗)
彼は、名前と顔が一致しないだろうが、顔を見ればわかるから・・・と会社に言われて迎えに来たと言う。
で・・・・私を見かけて、名前も確認せず・・・いきなり「オヒサシブリデス!」となったらしい。(大笑)
あ~ビックリした!
新たな“ポン引き”かと思った・・・・(大汗)

まもなく“サンデー君”が到着・・・
ドライバーが車を取りに出かけたので、車が来るまで“サンデー君”とおしゃべり・・・・
彼とは何度も会っているが、ゆっくりおしゃべりをしたことがない。
なぜか今回は彼は自分の家庭の話をする。(笑)
どうして今回の旅は、身の上話が多いのだろう?(大笑)
彼はまだ独身だという・・・
早く結婚しろ!・・・と、自分のことを棚に上げて説教する。(大笑)

車が玄関に横付けされ・・・さぁ、出発しますか!
と・・・その時、例のガードマン君が泣きそうな顔をして吹っ飛んできた。
こう言っては失礼だが、思わず吹き出しそうになる。(大笑)
なにも、そんな泣きそうな顔をしなくてもいいと思うんだけど・・・
また来るから!(笑)
「シー・ユー・アゲイン!バイバイ!」

ドライバーが“ステラさん”の携帯に電話してくれたので、お電話で改めて“ステラさん”にお別れのご挨拶・・・
いつものように、テキパキと“サンデー君”が搭乗手続きを最優先でやってくれたので、他の日本人を尻目に(大笑)さっさと出国手続きに向かう。

で・・・無事に帰国!
今回の旅も、充実した良い旅だったぁ~
感謝、感謝・・・英霊のご加護かな?



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