小泉八雲旧居

(ヘルン旧居)

(島根県松江市北堀町315)


小泉八雲旧居 平成16年11月20日

小泉八雲と根岸家

八雲は明治37年、東京で死ぬまでの14年間を日本ですごし、その間、松江・熊本・神戸・東京と4つの都市に住み、10軒もの家で生活を営みました。
現在八雲が根岸家を借りたいきさつは、当時のあるじ根岸干夫の先代、根岸小石の手によって明治元年につくられたものです。
規模こそ小さいものの、この庭は枯山水の鑑賞式庭園としては水準を抜くものとして高い評価を受けています。
八雲と根岸家との関わりは、家主干夫の長男磐井が松江中学、旧制五高、東京帝大で教わった師弟の関係でもありました。
東大卒業後、磐井は日銀に就職しましたが、東大時代の友人上田敏、小山内薫、柳田国男らの勧めもあり、八雲が愛した旧居の保存の為に、大正2年に松江に帰り、一部改築されていた家を元通りに復原し、記念館設立などにも力を尽くしました。
磐井の没後も、旧居は代々根岸家の人々の手によって、八雲が住んでいたままの姿を変えることなく保存され現在に至っています。

旧居観覧の手引き

小泉八雲旧居は、八雲の居間、書斎、セツ夫人の部屋などそれらの部屋をぐるっととり囲む庭が観覧の対象です。
八雲はこの屋敷全部を借りて住んでいましたが、一部公開です。
ここは住宅の構造を見るだけではなく八雲自身になって、作品、「知られぬ日本の面影」の舞台となった庭を見て頂きたいと思います。
日本全国各地に著名文化人の旧居はたくさん残っていますが、住居に付随する庭が重要な作品の対象になっている例は他にありません。
従って公開も庭を見て頂くのにもっともふさわしい方法をとっているのです。
ただ単に住んだだけということでしたら公開の方法も、他の多くの文化人の旧居と同じように、家の周囲をぐるっと歩いて、外からながめるという方法になっていたと思います。
西洋人である小泉八雲が日本の庭をどのように見たのかということが重要なのです。

文学者小泉八雲について

小泉八雲は怪談「耳なし芳一」や「雪女」の作者として余りも有名ですが、文学者としての八雲の功績はたいへん広範囲に渡っており、翻訳(主としてフランス文学の英訳)、紀行、随筆、文芸批評、民俗学などの分野でも多くの作品を残しています。
その中で、怪談は分量としてはごく僅かです。
たまたま有名になったのは、怪談が最も分かりやすく、従って最も多くの人々に読まれたからに他なりません。
しかし文学者小泉八雲の最大の功績は、当時の西洋人としては、珍しいほど日本に対する偏見がなく、むしろ過ぎるほど好意的な眼で当時の日本を広く世界に紹介したことです。
「知られぬ日本の面影」、「心」、「東の国から」と題された随筆集は、その代表作です。
それらの随筆集は、現在も当時の日本の風俗・習慣・文化などの単なる記録にとどまらず、美しい文体で描かれた素晴らしい文学作品として読むことができます。

(「小泉八雲旧居のしおり」より)

書斎 書斎
北の庭



北側の庭






(平成16年11月20日)

《北側の庭》

北側の第二の庭は自分の好きな庭である。
大きな草木は何一つない。
青い小石が敷いてあって、小池が一つ―珍奇な植物がその縁にあり、小さな島が一つその中にあって、その島には小さな山がいくつかあり、高さは殆んど一尺にも足らぬが、恐らくは一世紀以上の年を経たのも、その中にはある一寸法師的な、桃と松と躑躅がある小型の湖水が一つ―その中心を占めている。
ではあるがこの作品は、そう見せようと計画されていたようにして見ると、目に少しも小型なものとは見えぬ。
それを見渡す客間の或る一角から見ると、石を投げれば届くほどの遠さに、向うに真の島のある、真の湖岸の姿である。・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この池の縁の其処此処に、そして殆んど水と水平に、その上に立つことも坐ることも出来、その湖沼住者を窺うことも、その水中植物を世話することもできる。
平たい大きな石が置いてある。
池には、その輝かしい緑の葉面が、水の表に油の如く浮いて居る美しい睡蓮があり、また二種類の、一つは淡紅い花をつけるもの、一つは純白の花をつけるものと、多くの蓮がある。
岸に沿うて、三陵鏡的董色の花を咲かす菖蒲が生えて居り、それからまた装飾的な種々な、草や羊■や苔がある。
が、この池は蓮池で、蓮はその最も大なる妙趣となって居るのである。
葉が始めて解れる時から最後の花が落つる時まで、その驚くべき生長の一々の相すがたを見るのは楽しみである。
殊に雨降りの日には蓮は観察に値する。
その盃形の大きな葉が、池の上高く揺れつつ雨を受けて暫くの間それを保つ。
が、葉の中の水が或る一定の水平に達すると、屹度茎が曲がってポチャリと高い音をたてて水を零す。・・・・・・
(小泉八雲「日本の庭園」より)

(説明板より)

※ ■はパソコン上には無い文字

旧居内



旧居内






(平成16年11月20日)

ヘルン旧居覚書 歴史遺産と根岸家 小泉八雲旧居
平成16年8月 第1版 発行者:根岸道子 
※ラフカディオ・ハーンがこよなく愛した日本の家はこうして守られた

案内

公開時間・定休日
3月~11月 午前9時~午後4時40分
12月~2月 午前9時~午後4時30分
定休日・・・・なし
冬休み・・・・12月16日~12月29日・1月1日
料金
大人 250円・小人(小・中学生) 120円




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