旧朝香宮邸

東京都港区白金台5−21−9(東京都庭園美術館)


旧朝香宮邸 平成18年7月16日

東京都指定有形文化財(建造物)
旧朝香宮邸(東京都庭園美術館)一棟

所在地 港区白金台5丁目21番9号
指 定 平成5年3月22日

朝香宮あさかのみや家の本邸として、昭和8年(1933)5月に竣工した建物である。
一部内装の基本設計はフランスの装飾美術家アンリ・ラパンが担当し、実施設計は宮内省内匠寮たくみりょう工務課技師の権藤要吉らが分担して行った。
建物の規模は地上2階(一部、中3階)、地下1階。
建築面積1,048.29平方メートル。
主体構造は鉄筋コンクリート造である。
建物は昭和22年(1947)まで朝香宮の本邸として使われていたが、室内装飾には20世紀の初めの最も先進的で、最後の装飾芸術であったアール・デコ様式が随所に採用され、新鮮で華やかな意匠に満ちていた。
現在は美術館として使用されているが、内部の改造は僅少でアール・デコ様式を正確に留め、昭和初期の東京における文化受容の様相をうかがうことができる貴重な歴史的建造物である。
なお、室内のガラス装飾は装飾工芸家ルネ・ラリックの作品として有名である。

平成6年3月31日 建設
東京都教育委員会

(説明板より)

正面玄関




正面玄関






(平成18年7月16日)

正面玄関

庭園美術館のシンボルである正面玄関ガラスレリーフ扉は、フランスのガラス工芸家ルネ・ラリックの作品です。
来訪者を出迎えるかのように翼を広げる有翼の女神レリーフは、型押ガラス製法で作られています。
一点ものであるということと、その大きさを考えるとラリックの作品の中でも貴重な作品といえるでしょう。
床一面のモザイクは自然石の細かいピースで構成され、円、ジグザグなどの幾何学模様はアンリ・ラパンがデザインした1925年のアール・デコ博覧会のセーヴル製陶館の庭の床デザインと酷似しています。

(説明板より)

1階大広間




一階大広間






(平成18年7月16日)
階段




階段






(平成18年7月16日)
大客室のシャンデリア






大客室のシャンデリア








(平成18年7月16日)

大客室

南側に面したテラスを控え、朝香宮邸のなかでも最もアール・デコの粋が集められているのが、この大客室と次に続く大食堂です。
ルネ・ラリック制作のシャンデリアをはじめ、銀引きフロスト仕上げのエッチング・ガラスを嵌めこんだ扉や大理石の暖炉の装飾等、この部屋では幾何学的にデザインされた花が主なモチーフとして用いられています。
イオニア式柱頭をもつ柱はシコモール材にラッカー仕上げで金茶のつやを出し、天井には漆喰仕上げのジグザグ模様が施されています。
壁面の上部を囲むようにキャンバス地に描かれた壁面はアンリ・ラパンによるものです。
(内装 アンリ・ラパン)

(説明板より)

大食堂




大食堂






(平成18年7月16日)
大食堂の壁画




大食堂の壁画






(平成18年7月16日)

大食堂

大食堂は隣の大客室とはエッチング・ガラスの引き戸で仕切ることができます。
南面に庭園を望み大きく円形を描く張出し窓は開放的な独特の空間を形作っています。
来客時の会食用に使用された部屋ということで、ルネ・ラリックのシャンデリアやガラス扉等に、くだものがモチーフとして使われ、ラジエーター・カバーには魚がデザインされています。
暖炉の上の壁画はアンリ・ラパンの作で、赤いパーゴラと泉が油絵で描かれています壁面はブランショによるもので、プラスターの植物文様のレリーフに銀灰色の塗装が施され、オレンジ色の大理石の柱と呼応し、品格を保ちながらも大胆な強い印象を感じさせます。
(内装 アンリ・ラパン)

(説明板より)

中央階段




中央階段






(平成18年7月16日)
2階大広間




2階大広間






(平成18年7月16日)

中央階段・2階大広間

中央階段は1階大広間から2階の広間へ通じ、朝香宮邸時代はパブリック・スペースからプライベート・スペースへの階段でした。
2階広間には作り付けのソファーがあり、ピアノが置かれ、ご家族のくつろぎの場となっていました。
階段は外国製大理石を用い、手摺のデザインはアール・デコの特徴であるジグザグ模様が協調されています。
階段手摺の嵌めこみ金物はブロンズ製銀イブシ彫刻仕上げで、ホール照明柱、天井照明と同様にアール・デコ特有の幾何学的花模様で統一されています。
照明柱の付け根部分には花を飾ることができるように水盤が備え付けられるなど、細部にわたって意匠を凝らした設計となっています。
(設計、宮内省内匠寮)

(説明板より)

ウィンターガーデン




ウィンターガーデン






(平成18年7月16日)

ウィンターガーデン

木材を多用した他の室内と異なり、「ウィンターガーデン」には、漆喰しっくいと石材、そして金属とガラスが用いられています。
設計は宮内省内匠寮たくみりょうが行いました。
天井と壁は、2003(平成15)年に行われた修復により、塗り直しを行い、白さを蘇らせました。
大理石と、窓枠、蛇口、排水蓋などの金属部は、研磨を行った結果、竣工当時の微妙なフォルムを取り戻しています。
照明器具は、『朝香宮邸新築工事録』(宮内庁書陵部蔵)の図面に基づき、正確な復元を行いました。
部屋に入ってすぐ右側にある箱状のものは、植物を入れるためのものです。
「ウインター・ガーデン(冬園)」とは、冬でも植物を管理できる庭のことで、この部屋は2階の『北の間』に対する「温室」として設計されたものでした。
天井高のある宮邸は冬にとても寒かったといわれますが、「ウィンターガーデン」にも、竣工後に改めてヒーターが取り付けられています。
この部屋には、鳩彦やすひこ殿下が購入したマルセル・ブロイヤー(1902−81)による鋼管製の家具が置かれていました。
現在は当時使用されていたものが所在不明なため、マルト・スタム(1899−1986)のデザインを含む、現行品による展示を行っています。

(展示パネルの説明板より)

庭園から見る 庭園から見る


情報

2006年7月8日(土)〜10月1日(日)
『旧朝香宮邸のアール・デコ【小客室新規公開】』展

本展はこれまで非公開であった1階「小客室」の改修工事完了に伴い、世界的にも珍しい宮邸独自の精緻な意匠を堪能していただく、3年振りの建物公開展です。
「幻の建築」と讃えられたアール・デコの精華をお楽しみください。
さらに、ルネ・ラリックの香水瓶や皇室の記念品であるボンボニエール(ボンボン等、砂糖菓子を入れる小箱)も特別展示いたします。

◆会期中は特別企画として、限定エリアでの館内撮影が可能です。
◆茶室「光華こうか」を月曜限定で公開します。

(休館日)第2・第4水曜日
会期中は7/12・26、8/9・23、9/13・27
(開館時間)
午前10時〜午後6時(入館は午後5時30分まで)
(入館料)
一般:800円


朝香宮鳩彦やすひこ親王

明治20年(1887年)10月20日生まれ。
久邇宮朝彦くにのみや・あさひこ親王の第8皇子。
明治39年に明治天皇から『朝香宮』の宮号を賜り『朝香宮家』を創設。
大正11年にフランスへ留学。
翌年、フランス北部で義兄の北白川宮成久きたしらかわのみや・なるひさ王の運転する自動車が事故を起こし、同乗していた鳩彦親王は重傷を負い、北白川宮は死亡する。
この怪我の療養のためフランス滞在が長引き、フランス文化に長く触れることになる。
看病のため渡仏した宮妃と共にアール・デコ博覧会を見学したことで、同様式に強い関心と理解を示す。
帰国後は近衛師団長などを歴任。
日中戦争では上海派遣軍司令官として上海攻略や南京攻略に当たる。
大東亜戦争では終始強硬な主戦論者で、大戦末期の本土決戦では陸海軍統合を力説。
昭和22年に皇籍離脱。
昭和56年(1981年)4月12日、94歳で逝去。


吉田茂は、旧朝香宮邸を外相や首相の時代に公邸として使った。
これは首相官邸と違ってワンマン吉田の“統治空間の力学”を行使する舞台に相応しかったからだという。

(参考:『文藝春秋 2010年10月号』)

(平成23年6月25日追記)


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