大西中将の司令部跡

(バンバン)


平成16年5月7日(第2日目)

マバラカット東飛行場跡の慰霊碑(神風平和記念廟)から車で約10分程度北へ走ったぐらいのところだと思うのですが、河を渡った先から左の山に向かって細い道を入っていくと大西瀧治郎中将の司令部跡があります。

司令部跡入口 真っ赤な鳥居が目印です。
横の看板には『AIR FLEET SHRINE (KANKU JINJA)』と書かれていました。
ここは個人の私有地です。勝手には入れません。
ドミンが何度も大声で呼んで、ここの所有者を呼び出し、見学の許可をいただいて入りました。
朝日山 小高い丘の中腹に『大西中将平和記念碑』というのが建っています。
この碑は大西中将の副官だった門司さんが私費で建てた記念碑なんだと土地の所有者のお爺さんが言ってました。
この碑の後に、いくつかのトンネルがあります。
ここが朝日山と言われた大西中将の第1航空艦隊司令部跡です。
地下壕入口 いくつかある横穴壕の一つ。
ここのお爺さんの”部屋”になっていました。
外は猛暑ですが、さすがに涼しいとまでは言えないまでも、かなり過ごしやすい場所です。
”部屋”に使いたくなる気持ちもわからないでもない・・・・
簡易ベットまで持ち込んでありましたから、昼寝の場所かな?

さて、この横穴壕の中を見せてもらっていた時のこと。
壁の一部を指差して、お爺さんが言いました。
「この文字は日本語だと思うんだけど、なんて書いてあるか教えてくれないか」と。
よ〜くよく見て、指でなぞってみて・・・「う〜ん、これは”金”かな?」
手帳に文字を書いて見せてあげました。”金”
「”金”とはどういう意味だ?」とお爺さん。
「金・・・・ゴールドという意味ですけど・・・・」
「おおぉ!そうか!やっぱりな!ここには財宝が眠っておるのだ!」と言い始めた。
それからが大変。
延々と財宝の話です。
このお爺さんの英語は少々聞き取りづらいので(私のヒヤリング力不足もありますが・・・)、少々分かりづらかったのですが、要約するとこうなります。
このおじいさんは69歳。9歳のときに日本軍の荷物運びの手伝いをしていたそうな。
その時、なにやら三角形の深い穴が掘られていて、その中に何かを入れていたそうな。
多分それは財宝に違いないと言う。
さすがのマルコス(元大統領)もこの場所には手を出さなかったのだぞ・・・と得意顔。
ここに財宝が眠っている証拠はこれだ!
・・・・と見せてくれたのは錆びた電線(もしくはワイヤー)なのですが、この錆びた電線と財宝がどう結びつくのか私にはさっぱりわからない。

『山下財宝』(山下奉文大将の財宝)の話は知っているけど、ここは海軍の陣地でしょ。
山下さんは陸軍だからねぇ〜
財宝なんかあり得ないんじゃない?
・・・・と言ったらお爺さんは益々ムキになってしゃべり続けてしまい、更には”資料”と称する何かを記録した紙を何枚も持ち出しての熱弁。
手書きの見取り図のようだが書かれている文字はタガログ語。
私には読めません。

横穴壕の内部 横穴壕の内部。
正面にはドアの跡があり、埋まってしまっています。
右には更に壕が続いています。
この壕の更に一段下にもう一つの壕が続いているんだとお爺さんは言っていました。
このドア跡の埋まっている先のことかな?
それにしても・・・・金を隠した場所に”金”の文字を刻んでおくほど日本軍は間抜けなのだろうか?
ここに金がありますって書くかね?

60年間も自分の土地の下に日本軍の財宝が眠っているのだと信じているお爺さん。
その夢を壊すのは罪でしょう。
コンクリートの破片や錆びたボルトなどを持ち出して、「この下の深いところから掘り出したんだ」と一生懸命に話すお爺さんの聞き役に終始することにしました。

そのうち敷地内に植えてある植物の話に話題が変わりました。
お爺さんがある木の枝を折って私にくれました。
ドミンが「ネームトゥリーという名前だ」と教えてくれました。
”ネームトゥリー”ってなんの木?
お爺さんが身振り手振りで教えてくれた。(どんなジェスチャーだったかは想像にお任せします。)
オチンチンが元気になる木なのだそうだ!
「おお!何という魅力的なお話!で・・・・どうすればいいのだ?この葉っぱを食べればよいのか?」
「いや、いや、お茶のようにして飲むのだ」とドミンさん。
それじゃ、生の葉っぱをもらっても仕方ねぇじゃないか!う〜ん、残念だ!

ドゥーハットの実 「これはフィリピンのブドウです」とドライバーさんが言うのだが・・・
どう見てもブドウには見えない。
”ドゥーハット”という名前の実。
赤黒く熟した実をいくつももらって食べてみた。
種が大きくて実はほとんどない。
少々甘酸っぱく、食後、口の中に若干の渋みが残る。
でも、美味しかったです。
日本の”グミ”のような味かな?

さて、まだまだこれから行かねばならぬ処がある。
名残惜しいが、お爺さんとはお別れです。
見学させていただいたお礼と、”ドゥーハット”の実をたくさんくれた御礼に100ペソ(200円)を渡してお別れ。
どうぞお元気で。
財宝がみつかるといいね・・・・

 


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