静岡県沼津市千本郷林1907番地の11
平成18年4月15日
沼津に若山牧水の記念館を作る運動は、三十有余年にわたり牧水顕彰の活動を続けて来た沼津牧水会が中心になって、商工業界、教育文化関係等各界有志二百数十名が集まり、「沼津牧水記念館建設発起人会」を結成したところから始まりました。
同会の6年間の積極的な募金活動が実り、沼津市に6千万円が寄付されたのです。
これを受けて沼津市は、牧水にゆかりの深い千本松原の一角、海岸に面した景勝の地に「沼津市若山牧水記念館」を建設しました。
資料については若山旅人氏を始め多くの方の絶大なご協力を得て、広い範囲の収集ができました。
展示に関しては大悟法利雄氏の深く入念な構想を軸に、沼津市教育委員会と社団法人沼津牧水会が共同で実施しております。
牧水歌風の真髄たる浪漫的至純の歌の成り立ち、「自己即詩歌」の歌境など、牧水の生涯の足跡とその全仕事とを克明に細密に表現致しました。
どうぞゆっくりご覧下さい。
(リーフレットより)
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ラウンジ・受付 (平成18年4月15日) |
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展示室 (平成18年4月15日) |
歌人若山牧水の生誕から永眠するまでの足跡と、その輝かしい全仕事を一堂に集めて、編年体で展示しました。
「詩歌時代」と「牧水と酒」「牧水と旅」は特別に詳細な資料を入れてあります。
牧水歌風の真髄である浪漫的至純の歌の成立、或るいは歌人の信条であった「自己即詩歌」の境涯などを、日記や書簡・作歌ノートを介して、分かり易くリアルに表現しました。
復元書斎の細部には、長子若山旅人氏の幼児の記憶が反映されています。
(リーフレットより)
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展示室 (平成18年4月15日) |
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若山牧水 (展示写真より) (平成18年4月15日) |
沼津移住
牧水一家が初めて移り住んだのは香貫山の麓ふもと、沼津町在楊原やなぎはら村上香貫字折坂で、現在の沼津市民文化センターの近くである。
桜の古木に囲まれた七百坪の敷地、古いけれども大きな建物。
愛鷹山のま上に秀麗な富士山が仰がれる。
穏やかな自然に囲まれた田園で、牧水はここがすっかり気に入ったらしく、その主宰する歌誌「創作」の後記に「沼津生活は矢張り私にとって大変いい様です。今まで東京でよくこそ生きてゐたといふ気がします」とまで書いているのが目につく。
沼津の生活が落ちつくにつれて、全国の新聞雑誌からの選歌の依頼がふえて、経済的にも余裕ができ、しばしば好きな旅に出ている。
その歌境も深まり歌集も「くろ土」「山桜の歌」と続いて二巻出版した。
この香貫時代が牧水一家にとっても最も平和な日々だったといえよう。
(展示パネルより)
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妻・喜志子に関するコーナー (平成18年4月15日) |
妻・喜志子
喜志子は旧姓を太田といい、長野県東筑摩郡広丘村の旧家の四女として生まれた。
同じ村から太田水穂が、隣の村から窪田空穂くぼた・うつぼが出ており、広丘小学校長に島木赤彦が赴任していた。
こうして彼女は少女時代から読書を好み詩歌になじみ、文学の世界をあこがれて育った。
明治45年春、喜志子は牧水と東京でこっそりと結婚生活に入ったが、それからの二人の約十年間は、全く血みどろの苦闘の生活だった。
牧水は一定の収入をもたず、長男が出生するときも、彼女は一人で実家へ戻っているのだ。
牧水の天分を生かすべく、喜志子はひたすら窮乏と孤独に耐え忍んで生きたのだが、それを支えたものといえば、夫への一途な愛であろう。
牧水の死後は「創作」を主宰、歌人としてのみずからの自立をも見事に果たしている。
(展示パネルより)
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書斎(復元) (平成18年4月15日) |
書斎復元
朝づく日昇りさだまり澄みぬれば障子に竹の影深くなりぬ 歌集「黒松」
濡ぬれ縁の狭きに立ちてをろがむよわが四十三のけふの初日を 歌集「黒松」
鉄瓶びんを二つ炉に置き心やすしひとつお茶の湯ひとつ燗かんの湯 歌集「黒松」
牧水は大体夜の九時には酒を主とした夕食を終えて眠りにつき、暁方あけがたの四時ごろには起きて書斎にこもる日常だったから、家族の誰よりも早く日の出の太陽を身に浴びた。
書斎が千本浜の家の東端に在ったからである。
机右手の障子が濡縁に臨み、その先の小庭に棕櫚しゅろ竹と篠しの竹の植込があって、葉の茂みを通して香貫山や天城の嶺みねが望まれた。
日が昇って障子の影が落着く頃、朝の執筆を切上げ再び寝に帰る常だった。
藁わら灰を敷いた炉では酒の燗をし椎しいの実を炒いり、また朝粥かゆを炊いた。
旅人たびと
(展示パネルより)
ご案内
開館時間 9:00〜16:30
休館日 毎週月曜日(祝日に当たるときは、その翌日)・年末年始(12月29日〜1月3日)
観覧料 大人200円 小人100円
交通 JR東海道本線・沼津駅から箱根登山バス(2番線)「千本経由」又は「港湾経由」牧水記念館前下車
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