1.済州島に行く

(第58軍司令部駐屯地跡・「神秘の道路」)


 平成24年(2012年)5月24日 (1日目)

今日から韓国の済州島へ行く。
我が友人曰く・・・・
「なんで韓国が嫌いなくせに韓国へ行くんだ?」(笑)
「う~ん・・・・」
「ほら、ほら・・・いつも言っていたくせに・・・どうした?」(大笑)
「え~と、今回は本土決戦時の日本軍の戦跡を見に行く旅だから・・・え~と、ここは嫌いでも・・・我慢!」
「我慢?・・・・」(笑)
「仕方がないでしょ?戦跡を見に行くためには我慢するしかないの!」
「我慢・・・ねぇ・・・戦跡?本土決戦?・・・なんだそりゃ」(唖然)

前日に例の如く京成成田駅前のホテルに前泊。
集合時間は午前7時45分であるが、少々早く到着したので、暇つぶしに空港内をウロウロする。

今回の旅の企画は、3月に台湾へ行ったツアーと同じ会社。
案の定、“常連さん”のツアーである。
またもや新参者は私だけである。
だが、3月のツアーの時に一緒だった“ヨコヤマさん”が参加されていた。
旅行中、戦車のことでいろいろと私に質問して来た方なので覚えていた。
「いやぁ~お久しぶりです!」(笑)
一度でも会った事のある方が一緒だと、なぜか心強い。

今回のツアーの参加者は10名・・・・
参加人数が少ないので、添乗員さんは急遽、付かなくなったと言う。
成田空港からは7名が出発し、現地で3名が合流するという。
で・・・ガイド役として同行する写真家の“ヤスジマさん”が出発直前に引率者となってくれるよう旅行社から頼まれたそうだ。

早くも成田出国段階でトラブル発生!(大汗)
参加者の中の高齢者の方(たぶん80代後半の方)が、手荷物に液体の薬と大型のハサミを入れていたので、手荷物検査で捕まった!(唖然)
持ち込んではいけないものを持っているんだから当然だが・・・
なんでスーツケースに入れておかなかったのやら・・・・
この方・・・頑として係官の言うことを聞かない。
なので・・・やたらと時間がかかる・・・
いやぁ~大迷惑である。
そのうち、他の参加者達はサッサと搭乗口へ・・・
引率係を任された“ヤスジマさん”が面倒を見ることになり、どうやら引き返してスーツケースを戻してもらい、そこに入れるようである。
他の参加者は「あの人はこのツアーで何度も海外に行ってる常連なんだから、あんなものを持ち込めないってわかっているはずなんだけどなぁ~」と言う。
呆れて物が言えぬ・・・(大汗)
このツアー・・・大丈夫だろうかと先々不安になる。

午前9時45分発の大韓航空機で済州島へ・・・・
飛行時間は2時間半ぐらいか?

機内食

12時20分、チェジュ空港に到着。

済州国際空港は、戦時中は日本の「陸軍西飛行場」(チョントゥル飛行場)だった。
済州国際空港

空港内の銀行でとりあえず1万円を両替する。
もらったウォンは・・・14万2千ウォン・・・・
すご~く金持ちになったような気がする。
1ウォンは0.07円・・・・
よくわからん・・・私は数字が大の苦手なのである。(苦笑)
100ウォンが・・・7円?
ということは・・・700円は1万ウォン?
ということは・・・日本のコーヒー1杯が350円だとすると、5000ウォン?
5000ウォンと聞いたら、日本のコーヒー1杯の値段だな・・・と思えばいいのかな?
なにせ、何か基準を作っておかないと、高いんだか安いんだかわからなくなるのである。(大汗)
数字に弱いというのは本当に困る・・・・

現地旅行社のバスに乗り、ここで合流する参加者を待つ。
合流参加者は、関西空港から1名、ソウルから1名である。

無事に合流し、市内のレストランで昼食・・・・

これは・・・「石焼ビビンバ」か?
私は韓国が嫌いだから・・・(大笑)・・・・食べ物も知らない。
グジャグジャに混ぜて食べるのだそうだ。
しかし・・・悔しいかな・・・美味しい!(大笑)

食後、最初に向かったのは、「漢拏山(ハンラサン)」という国立公園。
ここは世界自然遺産なのだそうで、韓国の三大霊山の一つだそうである。
標高は1950mで、韓国で一番高い山だそうである。
で・・・火山なのだそうだ。
この周辺には360個(?)もの「オルム(小火山)(?)」が分布しているんだとか・・・

で・・・我々はこれからどこに行くのかと言うと・・・
この「ハンラサン」という山の隣にある「御乗生岳(オスンセンアク)」という山(標高1169m)に登るのだそうだ。(唖然)

登山口
登山口の説明看板

ハングル文字である!
英文の併記も日本文の併記もない。
最低でも英文を併記てもらわないと、何のことやらさっぱりわからん・・・・

この山の頂上が日本陸軍の第58軍司令部の駐屯地だという。
そういうことであれば、行かねばなるまい!(笑)

山道

この登山道・・・
軽く登山を楽しみたい人向けのハイキング道らしいが・・・ダラダラとした、なだらかな坂道は、結構、キツイ・・・
なにせ、我がツアーは高齢者の多いツアーである。(大笑)
私を含め50代は3名・・・・
60代が1名、70代が3名・・・
80代に至っては、86歳、88歳、89歳と3名もいるのである。(大笑)
体力に自信のないと言う紅一点、“タキザワさん”は78歳・・・
登るのをやめて、下で待っているという。

「まぁ、ゆっくり登りましょうよ~」と声をかけてあげるのだが、なかなか、お年寄りは頑固である。
初日から無理して体調でも崩されたらと思うとハラハラものである。
途中で、ドンドン韓国人の家族連れに追い抜かれ・・・(苦笑)
更には中学生か高校生か・・・子供達のグループにも追い抜かれる。(笑)
結構、この山を登る人がいる。
私は当然、韓国語なんか話せない。
覚える気もない・・・(大笑)
だから日本語で「は~い!先に行って!ドンドン行って!」と彼らに声をかける。
ところが、これがなぜか通用するんですねぇ~(笑)
子供達は会釈して追い抜いていく。
ある女子学生は「アリガト!」と日本語で応えて追い抜いていった。(驚)
あら・・・日本語、勉強してるの?(笑)

雲行きが怪しいなぁと思っていたが・・・案の定、雨が降り出して来てしまった。
念のため傘を持参してきたが、他の多くの参加者は傘をバスに置いて来たと言う。
まぁ、それほど激しい雨ではないから、何とかなるか・・・
心配なのは濡れた山道である・・・
足を滑らせ易いから、帰りは大変だなと思う。

登り始めて約40分後に山頂に無事到着!

頂上

ここには、コンクリート製の監視用トーチカが2基ある。
そのうちの1基は入り口が塞がれていて内部に入れないが、もう1基は内部の見学が出来る様になっている。
早速、入ってみる。

第58軍司令部・監視用トーチカ

第58軍司令部は、昭和20年(1945年)4月15日に「決7号作戦(済州島防御作戦計画)」に基づき編成された。
第58軍は、独自に済州島を守るために創設され、隷下部隊は、第96師団、第111師団、独立混成第108旅団、独立速射砲第32大隊、第1特設勤務隊などである。
この第58軍の上には、朝鮮半島の防衛を担当する第17方面軍があり、この第17方面軍と第58軍では、決戦の「戦略」がかなり違っていたようである。
第17方面軍は「水際決戦」で、海岸に近い所に陣地を構築し、上陸する敵を阻止する戦法、一方、第58軍は、現地調査により、兵力と火力不足のため水際決戦は無理ということで「内陸決戦」を考えており、海岸から後退した内陸部に陣地を構築して敵の上陸は許すが、長期持久戦により敵の戦力を消耗させようという作戦をたてた。
ところが、沖縄戦でとられた「内陸決戦」が失敗したことから、第17方面軍は「水際決戦」の方針に従うよう第58軍に命じた。
戦力不足を補うため、満州から第121師団が投入されたので、第58師団は、自分たちの「内陸決戦」戦略を維持しながら、命じられた「水際決戦」の備えも行なうという方針にしたらしい。
第58軍司令部は、済州農業学校に駐屯していたが、この山頂に陣地を構築し始め、昭和20年7月には、第58軍司令部の一部が、ここに移転。
済州島の海岸線を突破された場合、この山に築いた複郭陣地で最後の決戦をするという予定だったらしいが、陣地構築は終戦まで続いたという。

山頂から下を見る・・・・
あらら、我々のバスが停まっている駐車場が小さく見える。
えっ・・・こんなに高いところまで登っちゃったの?

さて・・・そろそろ山を降りますか・・・
と・・・そこへ“タキザワさん”がやって来た!
「おお!来たの!」とみんなが大喜び。
「こんなに喜ばれるなんて、嬉しい!」と“タキザワさん”
一人で待っていると言っていたが、気が変わって、後から休み休み、山を登って来たと言う。
早速、先ほどのトーチカへ案内して・・・・
到着早々で申し訳ないですが、山を降りま~す!(大笑)

さすがは“オバチャン”である。
おしゃべりのほうが忙しい・・・・
「あの、足元が濡れて滑りますから、気をつけて下さいよ」
「大丈夫よ!それでね・・・この日本の将来なんだけど・・・」とおしゃべりのほうが忙しい。
しかも、天下国家を語る“憂国の志士”・・・・
「おしゃべりに夢中にならないで、ちゃんと足元を見て歩いて下さいよ!」
「大丈夫よ!あたし、下りは得意だから!」
う~ん・・・人の忠告を聞かない人である・・・
私は、万が一を考えて彼女の前を歩くことにした。
後ろにひっくり返るのならまだいいが、前のめりに転げたら大変だと思っての“対策”である。

と・・・
トットットットットッ・・・と弾みがついてコントロール不能になった“タキザワさん”が駆け下りてきた。(ゲゲッ!)
「止まらな~い!」と“タキザワさん”
アメリカンフットボールで鍛えたのは30年も前のこと・・・
その名残も残っていない、この私に・・・ブロックできるか?(冷汗)
こう言っては、失礼なのだが、“タキザワさん”は“重量級”の“オバチャン”なのである。(失礼!)
なんとか体を張って・・・ブロック成功!(大汗)
「やっぱり危ないわねぇ~」
「だから、言ったでしょ!」
本人はケロケロしているが、こっちは汗びっしょりである。(涙)

山道

次に向かったのは・・・「おばけ道路」・・・・
何のことか、よくわからないのだが、現地ガイドさんが、そう言うのである。
で・・・その説明を聞いてみると・・・
どう見ても上り坂なのに、車のエンジンを切っても、車が自然と坂道を登って行くという。(笑)
そこにボールを置けば、そのボールがコロコロと坂道を“登って”いくのだそうだ。(大笑)
その場所へ行くという。

道路のある地点に「始点」の看板が立っている。
そこでバスは一時停止。
「では、ここでエンジンを切りま~す!」とガイドさん。
と・・・スルスルとバスが坂を“登る”(大笑)
あれれ???・・・である。

「終点」まで行き、駐車場にバスを停めて、道路を“見学”に行く。

道路には、坂を“登ってくる”車を見るため多くの観光客が集まっている。
その中の一人に自分も加わっているのだから・・・
私もミーハーと言えばミーハーである。(大笑)
向こうからバスがエンジンを切って、ス~ッと坂を“登って”きた!(笑)
どう見ても、坂を登っているよな?

「いや、だから・・・これは錯覚ですって!本当は下り坂!」と我がツアーの皆さんが言う。
「でも、登っていますよね?」と私。
「目の錯覚!目の錯覚だって~」
「いやぁ~そうですか?どう見ても登ってるでしょ?」
「やだなぁ~もう!錯覚ですって!」と全員に笑われる。
「いや、いや、目の錯覚だと思わされているだけで、本当は坂を登っているんじゃないの?上り坂でしょ?」(笑)
「だめだぁ~この人~!」(大笑)
・・・大いにふざける。(笑)

でも、どうしても下り坂には見えないんだよなぁ~(大笑)
これ、結構、面白い・・・・
現地では「神秘の道路」と日本語で銘打ってある。
すぐ近くにはお土産屋さんが建ち、(といっても、飲食がメインのようであるが・・・)結構、人が集まっている。
一大観光地?(笑)
ガイドさんの話によれば、島の北をメインに観光する人も、島の南をメインに観光する人も、ここには必ず来るので結構有名な“観光地”なのだそうである。

時刻は午後4時半・・・
ここの駐車場で、最後の合流者と合流する。
福岡から一人で参加された89歳の方を待つ。
この方は陸軍士官学校57期・・・・さすがは元士官・・・一人で来るなんて大したものである。(脱帽!)

次は・・・夕食!
北の海岸にある「竜頭岩」という場所にあるレストランで食事をするという。

で・・・その「竜頭岩」が・・・これ・・・

竜頭岩

「竜の頭に見えるでしょ?」とガイドさん。
ん?どこが?・・・竜の頭?(苦笑)
午後6時・・・この目の前のレストランで夕食・・・・

レストラン
夕食

夕食は、海鮮鍋・・・悔しいことに・・・これまた美味しい・・・(大笑)

食後、ホテルに向かい、チェックイン。
その後、改めて各自の自己紹介と明日の日程打ち合わせをして解散となる。

私の部屋

どうも頭がガンガンする。
疲れが出たのだろうか?
そうだ!今日はコーヒーを飲んでいない!
日本にいる時は毎日コーヒーを飲んでいるので、たぶんコーヒーを飲んでいないでいではなかろうか?
ということで、ロビーのラウンジで一人でコーヒーを飲む。(笑)

コーヒーとクッキー

嬉しい事に、クッキー付き!(笑)
ウェイトレスは愛想がないけど・・・まぁ、そんなもんだろうと思えば腹も立たぬ。
料金は、7,500ウォン!
なぬ!7,500円!・・・と一瞬思った私はマヌケである。(苦笑)
これに750ウォンの税金が加わり、総額、8,250ウォンである。
つまり・・・日本円では578円程度であるから、ホテルのラウンジのコーヒーとしては、そうそう高くはない。

このホテルも・・・全室禁煙である・・・(涙)
喫煙者は、どこの国に行っても不便で仕方ない・・・
灰皿は、ロビーの外に一つだけ・・・
ここで一服し、ホテル内の「雑貨屋」でジュースを買って部屋に戻る。

で・・・シャワーを浴びていたら・・・・
ピロリロリィ~ン、ピロリロリィ~ン・・・・
ん?韓国のテレビって、日本と同じ地震速報のメロディーを流すんだぁ~
地震もないのに、面白い・・・と思ってシャワーを浴びて出てきたら・・・
あらら・・・いつの間にか日本のNHK衛星放送がかかっていた。
俺、こんなチャンネルにしてたっけ?
見たら、日本で地震があったらしい。
あ~だからピロリロリ~ン・・・だったんだ。(大笑)
完全に頭がボケている。
親父は一人で留守番中だが・・・まぁ、韓国で心配していても仕方がないかぁ~
何かあっても諦めるしかないな・・・(大笑)



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