戦車第２師団

戦車第２師団慰霊之碑

愛知県幡豆郡の三ヶ根山の”比島観音”にあります。

表：第１４方面軍司令官・山下奉文の感状
裏：戦車第２師団配属部隊一覧

感状

戦車第２師団
同　配属部隊

右ハ師団長陸軍中将岩仲義治式ノ下ニ、一月上旬「リンガエン」ニ上陸セル敵ノ突進ヲ阻止スベキ命ヲ受クルヤ、熾烈ナル砲爆撃下幾多困難ナル状況ヲ克服シ、「ウミンガン」「ムニオス」「サンホセ」周辺ノ地区ニ於テ力戦敢闘、我カ機械部隊ノ特色ヲ遺憾ナク発揮シ、敵就中其機械化部隊ノ前進ヲ阻止撃破シテ多大ノ出血ヲ強要シ、其前進ヲ遅滞セシメ以テ方面軍ノ作戦ニ多大ノ寄与ヲナセリ。
次テ「アリタオ」附近ニ転進後、三月上旬「アンバヤバン」河谷ニ侵攻セル敵第三十二師団ノ撃破ヲ命セラルルヤ、兵団ハ勇躍敏速ニ「サラクサク」方面ニ前進シ敵ノ初動ヲ制シ、爾後敵ノ猛攻ヲ阻止撃砕スルコト實ニ三ヶ月、奇謀善戦寡兵克ク優勢ナル敵ノ進攻ヲ阻止シ、方面軍「バレテ」作戦ノ根幹ヲ形成セリ。此間多大ノ損傷ヲ蒙ルモ志気益々振ヒ、更ニ馬東橋附近ニ転進シテ「バカバック」平地ニ突進セル敵ノ背後ヲ遮断スヘキ任務ヲ受クルヤ、「サリナス」附近ニ於テ蝟集シ来ル敵ニ出血ヲ強要シ、同平地ニ於ケル方面軍ノ作戦に貢献セルコト大ナリ。
尋テ「アンチポロ」附近ニ転進ヲ命セラルルヤ、前人未踏ノ山岳密林地帯ヲ突破シ、機ヲ失セス所命ノ如ク兵力ヲ集結シ、勇奮敵ノ撃砕ニ當リツツアリ。
右ノ如ク敢闘實ニ半歳将兵ノ大部ヲ失フモ志気愈軒昂、任務ノ遂行極メテ積極果敢ナルハ、師団長ノ不屈不撓ノ闘魂ト適確ナル指揮統率、並ニ部隊将兵ノ一誠殉国ノ大義ニ生キントスル軍人精神ノ発露ニシテ、其武功抜群真ニ皇軍ノ亀鑑タリ。
仍テ茲ニ感状ヲ授与ス。

昭和二十年七月二十三日

第十四方面軍司令官
陸軍大将　従三位勲一等功三級　山下奉文

この感状は７月２９日に田口方面軍参謀が方面軍司令官山下奉文大将の名代として南アンチポロにて授与しました。

【戦車第２師団司令部（撃１２０９１部隊）】

昭和１９年９月中旬　北サンフェルナンド及びマニラ上陸
昭和１９年１０月上旬　サンミゲル
昭和２０年１月下旬　ウミンガン
昭和２０年１月３０日　キラキタ
昭和２０年２月１１日　デグデグ
昭和２０年２月１５日　ドバックス
昭和２０年３月上旬～４月上旬　イムガン、ルグルグ
昭和２０年６月上旬～７月上旬　ピンキャン、サリナス
昭和２０年７月中旬～９月中旬　サリナス～南アンチポロ～終戦
昭和２０年９月１６日　イブンにて武装解除

（参考：村田三郎平著　『最前線爆雷製造部隊』　風媒社　１９７７年第１刷）

（平成２３年１０月２４日追記）

戦車第２師団編成表

師団司令部: 参謀部; 副官部; 兵器部; 経理部; 軍医部

戦車第３旅団: 戦車第６連隊（中戦車中隊×３　軽戦車中隊×１　砲戦車中隊×１　整備中隊×１）; 戦車第７連隊（中戦車中隊×３　軽戦車中隊×１　砲戦車中隊×１　整備中隊×１）; 戦車第10連隊（中戦車中隊×３　軽戦車中隊×１　砲戦車中隊×１　整備中隊×１）

機動歩兵第２連隊（歩兵大隊×３　連隊砲中隊×１　整備中隊×１）
機動砲兵第２連隊（砲兵大隊×３　整備中隊×１）
戦車第２師団速射砲隊（速射砲中隊×３　整備中隊×１）
戦車第２師団工兵隊（工兵中隊×６　整備中隊×１）
戦車第２師団通信隊
戦車第２師団整備隊（整備中隊×３）
戦車第２師団輜重隊（輜重兵中隊×４　整備中隊×１）
戦車第２師団患者収容隊

※戦車第11連隊、戦車第2師団捜索隊、戦車第2師団防空隊は師団より抽出され、他方面に転用された。

「慰霊　戦車第２師団防空隊」の碑
（愛知県名古屋市・愛知県護国神社）

裏の碑文
呂２０９部隊第４中隊
昭和５１年６月２７日

（平成１５年１１月２８日）

戦車第２師団の配属部隊

平地戦以降の配属部隊

瀧上大隊（独立歩兵第３５６大隊）
松本大隊（独立混成第２６連隊第３大隊）: 配属：歩兵第６３連隊第２中隊（前田隊）; 配属：仙波対戦車小隊
大橋工兵小隊（工兵第１０連隊第３中隊）
片岡隊（歩兵第６３連隊第１０中隊）
乾大隊（歩兵第３９連隊第１大隊）
鈴木部隊（捜索第１０連隊）: 配属：歩兵第６３連隊第６中隊（足立隊）; 配属：野砲兵第１０連隊第８中隊（湯浅隊）; 配属：歩兵第３９連隊第４中隊（山口隊）
独立戦車第９中隊
第１３９兵站病院
第１３４兵站病院
第１３８兵站病院

山地戦（サラクサク）以降の配属部隊

藤黒大隊（独立歩兵第１１連隊第２大隊）
石井大隊（野砲兵第１０連隊第４大隊）: 配属：中迫撃第７大隊（塚田隊）
日高鉄道警備大隊
岡野隊（歩兵第６３連隊第１１中隊）
山下隊（臨時第４野戦補充隊）
第１菊水隊（臨時歩兵第７野戦補充隊・他）
三根部隊（臨時歩兵第１４大隊）: （マニラ航空廠・飛行６５戦隊・飛行６６戦隊）
白根部隊（臨時歩兵第１３大隊）: （船舶）
斎藤山砲小隊
植山司令部（臨時独立第１歩兵団司令部）
森下大隊（臨時歩兵第１９大隊）: （第７航空通信連隊）
金田大隊: （方面軍教育隊・航空諸隊）
矢野大隊（臨時歩兵第１７大隊）: （船舶諸隊）
峰松大隊（第８８兵站地区隊）
丸尾大隊（臨時第７野戦補充隊）
川本臨時第２歩兵隊司令部
深谷大隊（臨時歩兵第１５大隊）
徳永大隊（独立自動車第６２大隊）
井上大隊（独立自動車第６３大隊）
桜井部隊（第４９野戦道路隊）
松原大隊（独立歩兵第１７８大隊）

クラーク地区の配属

特設第１１機関砲隊
独立機関銃第１・２・３中隊
第２６師団野戦病院戦闘救護班
独立戦車第８中隊（岩下戦車隊）
仮編自走砲中隊: （１０センチ榴弾砲２門）
第１３２飛行場大隊
第１３７飛行場大隊
対戦車戦闘第１・２・３中隊
独立速射砲第２５大隊
大石作業隊・第３工作隊

その他関係諸部隊・編入諸将兵

クラーク地区配属部隊は、機動歩兵第２連隊の第２大隊及び第３大隊で編成され、連隊長の高山中佐に指揮された「高山支隊」に配属されて戦っています。

戦車第２師団人員表

部隊名	部隊記号（比島）	総人員	死亡	生還	死亡率
戦車第２師団司令部	撃１２０９１部隊	３２７	７２	２３０	２２．０％
戦車第３旅団司令部	撃１２０９３部隊	６９	５９	１０	８５．５％
戦車第６連隊	撃１２０９４部隊	９２０	８６８	５２	９４．３％
戦車第７連隊	撃１２０９５部隊	９１９	８１６	９６	８８．８％
戦車第１０連隊	撃１２０９８部隊	９２０	８１３	１０１	８８．４％
機動歩兵第２連隊	撃１２１００部隊	２，１６４	１，９１８	２４６	８８．６％
機動砲兵第２連隊	撃１２１０３部隊	１，２７９	１，０８４	１９２	８４．８％
戦車第２師団速射砲隊	撃１２１０１部隊	４８７	４０７	７６	８４．１％
戦車第２師団工兵隊	撃１２１０５部隊	７７２	５８１	１８８	７５．３％
戦車第２師団整備隊	撃１２１０６部隊	４１２	２９３	１２４	７０．３％
戦車第２師団輜重隊	撃１２１０７部隊	８１０	５２４	２７７	６４．７％
戦車第２師団通信隊	撃１２０９６部隊	１３３	５９	７４	４４．４％
患者収容隊	撃１２１０８部隊	２１３	１０４	１０３	４８．９％
合計		９，４２７	７，５９８	１，７８９	８０．６％

※患者収容隊は機動歩兵第２連隊を主体として編成された戦時編成部隊です。

戦車第2師団が米第32師団を相手に死闘を展開したフィリピン・ルソン島のサラクサク峠

（平成15年４月２９日訪問）

高田山頂上　戦車第10連隊第4中隊が陣を構えた”フユ陣地・高田山”頂上

”サル陣地”頂上にある「サラクサク峠慰霊碑」

後に見える山並みがサラクサク峠です。

碑文
第二次世界大戦のとき、この地に斃れた日米比三国の将兵及び現地住民の死を悼み、その冥福を祈念してこの碑を建てる。
１９４５年２月から６月に及んだサラクサク峠の攻防戦において日本軍の戦死者４，６００名、米軍の戦死者３，２００名を算し、また多くの現地住民が犠牲となった。

サラクサク会（戦車第２師団　同配属部隊、生還者・遺族・その他有志）
マリコ村住民
協賛：米軍第３２師団在郷軍人会

昭和５３年建立

（この碑文は日本語、英語、フィリピン語の３ヶ国語で記されています。）

	戦車第２師団慰霊祭平成１５年４月６日に愛知県幡豆郡”三ヶ根山・比島観音”にて開催されました。
「戦車第ニ師団の会」の総会平成１５年４月６日に愛知県蒲郡市の「ホテル竹島」にて開催されました。