10.ウェルカム・パーティー?

(市内レストラン)


平成21年(2009年)10月25日 (第3日目)

レストランに着いたら、もう一人、ジュンさんの友人が待っていた。
ん?3人で食事か?
飲み物を頼んで、おしゃべりとなる。
相変わらず、うまく英語が話せないのだが「コミュニケーションは取れているから大丈夫」と言われる。

この“ジュンさんの友人”は、ジュンさんと同じロータリークラブのメンバーだそうで、スリガオ市には、誇れる歴史があるのに誰もそれを知ろうとしないので、二人でその歴史を広める活動をしているという。
スリガオ海峡海戦の記念碑の建立も、その一つなのだそうだ。

今度は、スリガオ海峡海戦で沈んだ戦艦山城のモニュメントを作るという。
そこに全戦没者の名前が書かれたプレートを取り付けたいので、なんとか戦没者全員の名前を調べて欲しいと頼まれる。
う〜ん・・・資料があるかどうか・・・・
日本に帰ったら調べてみると答えたが・・・
こりゃ、難問かもしれないなぁ〜(笑)

「ヘリテージ・センター」には、なかなか地元の人が見学に来ないという。
博物館を見学するのに金を使うくらいなら、何か食べ物を買ったほうがいいというのが、ここの市民の感覚だそうで、そういうのを何とか変えねばならないという。
高校生や大学生ではすでに遅いので、小学生以下の子供たちを対象に活動せねばならないという。
私は小学1年生の時に母に博物館へ連れて行ってもらって、それから博物館が好きになったんだという話をした。
すると「あなたのお母さんは立派だ。そうでなくてはならない」と大いに褒めてくれた。
喜んでくれ、お母さん!
あなたが、私にしてくれたことを外国人が大いに評価してくれたぞ!(喜)
母が生きていてくれてたらなぁ〜・・・・何と言って喜んでくれただろうか・・・・

大人が・・・つまり、親がもっとしっかりしてくれねば・・・という話の流れの中で、賄賂の話も出た。
どうしても賄賂が横行するらしく、選挙の時などは特にそのようだ。
「賄賂・・・って、わかるか?」と尋ねられたので・・・・
「あの・・・アロヨ大統領がやっていることですよね?」と言ったら、二人が大笑い。
「う〜ん・・・確かに、そう言われれば、そうかな・・・・」(笑)
ジュンさんの友人は、ちょっと強面で、かなり緊張感があったのだが、不思議とこの大笑いからお互いの緊張が解けたような感じになった。

と・・・彼が、確か、こんなことを言ったのである・・・・・「アメリカ人は嫌いだ」・・・・
たしか・・・そういうように聞こえた・・・・(笑)
「今回、あのアメリカの戦史研究家のジンジャーさ”が、言いたい放題言っていたが、あれはアメリカの歴史観だろう?こちらとしては日本の歴史観も知りたい」と言う。
自分たちが読む本はすべて英語で書かれている本である。
英語の本はアメリカ人が書いている。
だから、アメリカの歴史観しかわからない。
それでは一方的である。
来年は、お前にチャンスを与えるから、日本から見た歴史をみんなの前でプレゼンテーションしてほしいと言う。
「えっ?」っと驚いたら・・・・
「英語が話せないなら日本語でいいから、お前が話せ。“ミヤケ”に通訳してもらえばいい」と言う。
いや・・・そこまで言われたら、通訳なんか使わず、自分の言葉で話したい。(笑)
「1年かけて英語を勉強して、自分で話すようにします」なんて、でかいことを言ってしまった!(笑)
やっちゃったぁ〜(笑)
1年後、果たして本当にそういう場を与えてもられるかどうかはわからないが・・・・(笑)
英語の勉強は・・・・せねばなるまい!

しかし、どうも言外に、市役所側との摩擦を感じる・・・・
そもそもジュンさんたちがスリガオ海峡海戦の記念碑を建てて、この記念式典を始めたらしい。
つまり、主催者側だったのだが・・・・・
それが、今ではスリガオ市主催となっている。
どうも主導権を奪われた形となっているようである。
たぶん、市のほうでは、どういうルートかは知らないが、アメリカからのお客様としてジンジャーさんを招いたのだろう。
で・・・ジュンさんたちは、それに対抗して日本側から誰か呼ばねば・・・・となったのではあるまいか?
「アメリカ人ばかり優遇して・・・・」というようなことを言っていたから、そうだろう・・・・
やたらとジンジャーさんの出番を作って、言いたい放題のことを言わせている・・・・と・・・・
それが、気に入らないという感じなのである。
それに対して・・・・日本から来た“戦史研究家”は・・・・・英語が話せない・・・・(笑)
一方的にやられっぱなし・・・・
市役所側に一矢報いるはずが・・・・期待はずれの役立たず・・・・(笑)
だから・・・来年は、お前が壇上に上がって、日本語でもいいから話せ・・・という発言になったのではなかろうか?
もしかして水面下で主導権争いか?(笑)

しかし、おしゃべりも結構なのだが・・・一向に料理を注文する気配が無い。
そこへ、観光局(?)の責任者のミス・ロズリンが店に入ってきた。
で・・・会話に参加・・・・
え〜と・・・一体、何人で夕食を食べようというのか・・・・さっぱりわからない・・・(笑)
ジュンさんの友人が「お前、独身だよな?」と彼女に言った時、ジュンさんが「あんたも独身か?」と私に尋ねたので「そうです」と答えたら・・・・
「それじゃ、お前たち結婚しろ!」と言う。
いきなりのことで・・・・唖然・・・・・(笑)
彼女が「気を悪くしないでね」と前置きした後に言った言葉は・・・・
「私は外国人とは結婚する気はありません!」だった・・・・(大笑)
ん?そうか・・・私はここでは外国人なんだ〜(笑)
しかし、彼らは、それでもさんざん彼女をからかう。
いやぁ〜参ったなぁ〜
私は何と言ってよいやら・・・・(汗)

そこへ・・・・ゾロゾロと客が入ってきた・・・・
ん?・・・あれ?・・・・
ジンジャーさんたちアメリカ側のお客と市役所のスタッフ達、総勢20名近くいる。
まるで大名行列である。
先ほどの「アメリカ人ばかり優遇して・・・」という発言に納得する。
なぜか、私の担当者であるミス・ロズリーも、その中にいる。
ん?何で?
昼間、さんざん彼女に逆らったから、日本人の担当は嫌だと、アメリカ側に“寝返った”か?(笑)
彼女に尋ねたら・・・・「ウエルカム・パーティですよ」と言う。
ん?
夕食って・・・・みんなで一緒に食べようということだったの?
ジュンさんに確認したら、「ウェルカム・パーティだよ。あなたも参加するんだ」と言われる。
夕食がパーティーとは聞いていなかったんだけど・・・・
なんと中途半端な意思の疎通か・・・・(笑)

さて・・・このウェルカムパーティ・・・
最初に開催の挨拶をジュンさんが行ったのだが・・・・これが「最低〜」の挨拶(大笑)
「え〜皆様、お集まりいただきありがとうございます。このたび、このミス・ロズリンとミスター・スズキが結婚することとなりましたことをご報告いたします!」と言ったのである!
ギョェ〜!!!!
みんなは大騒ぎ!
おい、おい、冗談がきついよ〜(汗)
お〜い!お〜い!冗談だからね!
勘弁してよぉ〜

この、とんでもねぇ冗談から始まり・・・・パーティーは和気あいあい・・・と、なるかと思ったら・・・・
アメリカの戦史研究家ジンジャーさんが、あーでもねぇ、こーでもねぇと、一人でしゃべり始めた。
話は半分程度しか理解できなかったが・・・・
自分が今、興味を持っているのは、戦時中の日本軍の捕虜収容所のことであるという。
収容所に収容された米軍捕虜が、日本兵にどんな目に遭わされたのかということを調べているのだという。
(ちゃんとした証拠も持っているとも言っていたような・・・)
で・・・日本大使館に対して、この捕虜収容所の問題についてコメントを求めたがすぐには返事が来なかった。
ずいぶん経ってから、捕虜収容所については大変申し訳ない(アイム・ソーリー)とのコメントをもらったが、私は納得できない・・・・とかなんとか興奮して喋りまくる。
ん?聞き捨てならねぇなぁ〜
興奮すると、早口が更に早口になるから、その後、何と言っているのかはチンプンカンプン・・・・
彼女は、私をチラリと見て・・・・
「なんで、日本政府の人間がここに来なかったんだ。来れば、いろいろ問い詰めたのに」と言ったようである。
すると、ジュンさんが、「我々は国家同士というんじゃなくて、このように各国の市民レベルの交流をしようということでやっているんだから・・・・大使館というのは関係ない・・・・」というようなことを言った。
が・・・そんな言葉はどこ吹く風・・・・更に彼女はしゃべりまくる。

とにかく、悔しいことに、私は断片的にしか英語が理解できないのである。
まるで、壊れたラジオみたいなものである。
突然、よく聞こえたかと思ったら、急に雑音ばかりで何も聞こえなくなる・・・・
あ〜なんとも情けない・・・・

彼女に最初に会った時に、三宅さんが、「この人は英語がわからないから」と言ったせいだろうか?(笑)
“日本の戦史研究家”(笑)の私を目の前にして、言いたい放題である。
私のほうを見ずに、まるで食ってかかるようにジュンさん相手に議論を吹っ掛けているように見える。
いや、もしかして、間接的に私を挑発しているのかもしれない。
う〜ん・・・・悔しいなぁ〜
しかし、私は英語が全く理解できないことになっているんだから・・・・・
このまま、ポーカーフェイスで、彼女の話を聞いていたほうが得策ではないだろうか?(笑)
何の話をしているのかわからないふりをして、食事をしながら、耳だけは・・・ダンボ!(笑)

後半は、あまりの早口で、まったく解読不能!(涙)
とにかく「ジャパニーズ、ジャパニーズ」を連発していたから、日本兵のことについて何か言っていたのだろう。
すると・・・ジュンさんが反論を開始した。
「私は、日本人からは、そういう風には聞いていない。あなたの言っていることと、ちょっと話が違うようだ。日本人って言っても、ここにいる人(私のこと)じゃなくて、別の人から聞いたんだけれども・・・・」と前置きして、何か話したのであるが・・・・(それが何かが、困ったことに理解できない・・・・笑)
しかし、ジュンさんの話を意に介さない様子で、ジンジャー婆(笑)は、喋りまくる。
で・・・遂にはジュンさんとジンジャーさんとの一対一の大議論・・・・
周りのスタッフは・・・・シラァ〜・・・・(笑)
これ・・・ウェルカム・パーティー?
それともアメリカ人による「吊るし上げパーティー」?

そのうち、ジンジャー婆が急に「日本人の中にはいい人もいる」と言いだした。
もしかして、ジュンさんに、日本人の悪口を言いすぎるとたしなめられたのかもしれない。
彼女は、セブ島で「非常に良い日本の若者たち」に会ったという。
かれらは「グッド・メン」だという。
是非とも、もっと話が聞きたいと言うので、この後、セブ島に行って、彼らに会う約束をしているという。
ん?なんだぁ〜?
セブ島で会った若者たちは「いい日本人」だって?
どうせ、サーフィンか、ダイビングをしている「ガキどもら」だろ?
歴史のことも知らない、戦争のことも知らない無知な連中ではないのか?
彼女の話を聞いて「へぇ〜そうなんですか〜知らなかったぁ〜!」とかなんとか連発したんだろう。
で・・・彼女は「もっと話を聞かせてください」とでも言われたのかな?
自分の話を無条件で受け入れる歴史の知識のない無知な連中は「いい日本人」ということなのか・・・・
アメリカ人の言いなりになる日本人は「いい日本人」ということか?
聞き捨てならねぇ〜なぁ〜
が・・・なにせ、断片的にしか英語が理解できないのである。
反論したくても、適当な言葉が思い浮かばない。
あ〜悔しいなぁ〜
なんとも歯がゆくてしかたない。
ちくしょう!腹が立つ!
英語ができない自分に腹が立つ!
情けねぇ「日本代表」である・・・・・・(涙)

和気あいあい(?)のパーティも終わり、お開き・・・・
ジュンさんと友人の方にホテルまで送ってもらう。
車内で、私に気を使ってか、「彼女の言っていることは、ちょっと問題がある」というようなことを二人で話している。
やっぱり、二人とも、彼女にはあまりいい印象を持たなかったようである。
「私は少ししか会話の内容がわからなかったのですが、あの話はちょっと不愉快です。英語ができないので、私はしゃべりませんでしたが・・・・日本に帰ったら英語を勉強しようと思います」と話したら・・・
「その通り!お前はもっと英語を勉強しろ!」と二人に言われる。(笑)
情けねぇ〜
とにかく、私は何も理解できずに馬鹿面さげていたんじゃないんだぞ、少しは会話の内容は理解していたんだぞ・・・・ということだけは、二人に伝える。(言い訳であるが・・・・笑)

ジュンさんから「“ショウ”というのは、どういう意味だ?」と尋ねられる。
彼のいう“ショウ”とは、日本軍の「捷号(しょうごう)作戦」の「捷」のことである。
この質問に答えられなかったら“日本の戦史研究家”としては失格である。(笑)
「捷」とは「勝つ」という意味の日本語なのだという話をする。
「捷一号作戦」は、フィリピン方面における日本軍の決戦作戦である。
どうだ!ジンジャー婆がセブ島で会った日本人の青年たちは、こういうことを知っているか?
日本人でありながら「捷」の意味を答えられまい!(笑)
何が「彼らはいい日本人」だ?
冗談じゃねぇぞ!(笑)

あっという間にホテルに到着。
いやぁ〜今日は長い一日だった・・・・・

部屋に入ったが・・・なんとも落ち着かぬ・・・・
ちょっと興奮しているのかも・・・・
ここで・・・コーヒーでも飲んで一服したい・・・・
というわけで、ロビーに降りて、レストランへ・・・・
幸いに、まだレストランは開いていた。

レストランの若い女の子にコーヒーを頼んだら・・・・
「今朝、式典にいたのはあなたですか?」と言われた。
「ん?式典って・・・・フェリーターミナルの?」
「そう」
「俺、行っていたけど・・・・え?来てたの?」
「はい、見に行きました」
「え〜!午前3時に?」
「はい、行ったら、あそこにいるのは、あなたかなぁ〜と思って・・・。市役所のセレモニーで何か読んでいたのも、あなたですか?」
「そうだけど・・・え?市役所にも来たの?」
「はい、もしかして、うちのホテルに泊まっている人かな〜と思って見てました!(笑)」
「いやぁ〜ありがとう!」
昨日まで、ニコリともしない女の子だったんだけど・・・・
なぜか、ニコニコしながら話しかけてくる。
好感をもってもらえたのかな?
それならば、「日本代表」として参加した甲斐があったというものである。(笑)

いやはや、たいした従業員さんだ。
早朝から見に来ていたとは・・・・

「式典の俺はどんなふうに見えた?格好よかった?」と尋ねたかったのだが・・・・(笑)
そういう英語が頭に思い浮かばない・・・・
え〜と・・・何ていえばいいの????
え〜と・・・・え〜と・・・
「ごめんねぇ〜、俺、英語がうまく話せない」
「いえ、他の日本人はもっと話せませんよ」
「そうなの?」
「あ〜とか、う〜とか言って、手で、こうやって説明するんだけど、全然わからないんですよね」
「へぇ〜そうなの?」
「いや、日本人全部が話せないわけじゃなくて、英語の上手な日本人もいますけど、ほとんどの日本人は・・・・あ〜とか、う〜とか・・・・ジェスチャーだけです。(笑)」
「へぇ〜そうなの?俺も話せないしね・・・・」
「いえ、十分、私たちはコミュニケーションが取れていますから大丈夫ですよ」
「コミュニケーション?」
「そう、コミュニケーション・・・・取れてるじゃないですか〜(笑)」

まぁ・・・なんとか、かんとか・・・だけど・・・・(笑)
英語の上手な日本人もいるって言っていたけど、彼女が会った日本人の中で、私は何番目ぐらいの「英語が話せる日本人」なのだろうか?
そこのところを聞いてみたかったが・・・・
あ〜言葉が出てこない!(笑)
駄目だぁ〜・・・・断念・・・・(笑)

女の子と、おしゃべりして、コーヒー飲んで、リラックス・・・・・あ〜最高である!
日本兵と日本の悪口は聞き飽きた・・・・
こういう楽しい会話のやりとりというのが本来の友好なんだけどねぇ〜
片言でも・・・・
こういう会話は楽しい。


  


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