特二式内火艇(カミ車)


 平成22年9月17日

パラオ共和国・バベルダオブ島


【特二式内火艇(カミ)】

太平洋戦争の激化にともなって、上陸作戦時の強襲上陸用の火力支援および突破をおこなうのに必要な特型内火艇と呼ばれた水陸両用戦車が装備された。
日本陸軍は太平洋戦争以前より各種の水陸両用戦車を東京ガス電気工業社などに試作させたが、結局は量産せずに終っている。
対して海軍は、これとは別に3種類の水陸両用戦車を製作した。
しかし水陸両用戦車であることを秘密にするため内火艇(モーターボート)と呼んでいた。
特二式内火艇は最も生産台数が多く、180輌あまりが量産されている。

「カミ車」と呼ばれた特二式内火艇は、九五式軽戦車のエンジンや歯車装置など主要部品等を流用して作られたもので、海軍の一号型水陸両用戦車である。
戦車の車体部を中心におき、その前後に浮力を得るため「浮き箱(フロート)」が取り付けられている。
海から上陸後は「浮き箱」は取り外されて身軽となる。
上部の昇降口(ハッチ)にはゴムが巻かれて天蓋てんがいの隙間から海水が入らぬよう工夫されていた。
水上航行時には、吃水が非常に深くなり、水上にはごくわずかな部分しか出ていないので、空気の入れ換え及び冷却用のための通風塔が車体後部に高く突き出ている。
このため、たとえ波がきても、この先さえ水面の上に出ていれば安心して水中を走ることが出来た。

水上航走の方式には、キャタピラで水を掻いて進む方式とスクリュー方式があるが、キャタピラの強度に頭を悩ます必要のないスクリュー方式を採用した。
水上航行は、二軸スクリューによって進み、航行速度は9.5km/時。
路上はキャタピラを使い、37km/時の速力を持つ。
スクリューは陸上を走る時も付いたままだが、舵機は上方へ引き上げることができた。

武装としては、九四式36.7口径37ミリ戦車砲(一説には一式37ミリ戦車砲)が旋回砲塔に、九七式7.7mm車載重機関銃が車体の前部左側にそれぞれ装備されている。
全備重量は12,500kg。
乗員は6名だが、そのうちの1人は機械工で、水上用、陸上用の伝達装置(トランスミッション)を整備する役目だった。

上陸地点までの輸送は潜水艦でおこなう計画であったが、実際には一等輸送艦(駆逐艦型)または二等輸送艦(戦車揚陸艦型・LST)でおこなわれた。
ともに7輌を搭載することが出来たという。
そしてニューブリテン島ラバウルの第8根拠地隊、サイパン島の第5根拠地隊、パラオ諸島の第30根拠地隊などへ運ばれている。
特二式内火艇の所轄は海軍特別陸戦隊で、2〜3輌で1個小隊を編成した。

特二式内火艇を用いて敵前上陸を強行したのは昭和19年12月にフィリピンのレイテ島オルモック港に対して2隻の二等輸送艦が行なった1回だけである。

(参考:月刊雑誌『丸』別冊 『日本兵器総集(昭和16年〜20年版)』 昭和52年発行)
(参考:『日本陸軍兵器集』 KKワールドフォトプレス 昭和57年発行)


 平成22年9月18日

パラオ共和国・コロール島




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