旧諸戸清六邸

(現:六華苑)

三重県桑名市大字桑名字鷹場663番の5


六華苑 平成15年11月29日

六華苑(旧諸戸清六邸)概要

六華苑(旧諸戸清六邸)は、山林王として知られた実業家 二代目諸戸清六の新居として明治44年に着工、大正2年に竣工されました。
揖斐・長良川を望む約1,8000u余の広大な敷地に、洋館と和館、蔵などの建造物郡と「池泉回遊式」日本庭園で構成されたこの邸宅は、若干の改築と戦災を受けたものの、創建時の姿をほぼそのままにとどめている貴重な遺構です。
その中でも特に洋館は、鹿鳴館やニコライ堂などを手がけ「日本近代建築の父」とも呼ばれたイギリス人建築家 ジョサイア・コンドルが設計を担当しており、我が国の住宅建築史上からも注目される存在です。

コンドルは25歳で来日して以来、67歳で没するまで70近くの建築作品を世に送りましたが、そのうち住宅建築が約半分を占めています。
しかし、そのほとんどは東京と神奈川県内に集中していたため、その後の関東大震災や戦災により現存する作品は非常に数少なくなっています。

桑名市は平成3年に土地を取得し、建物は諸戸家からの寄贈を受け、整備工事の後、平成5年に「六華苑」という名称で一般公開しました。
その建造物のうち、洋館および和館は平成9年に国の重要文化財に指定され、他に6棟が三重県有形文化財、離れ屋は桑名市の有形文化財に指定され、大切に保存されています。
また、庭園は一部を除き平成13年、国の名勝に指定されました。
六華苑は、コンドルの住宅作品として地方に現存し、誰もが自由に見学できる、唯一の貴重な文化遺産となっています。

(購入したガイドブック「六華苑」2001年10月31日発行より)


庭から見た六華苑 庭から見た六華苑
六華苑 六華苑の玄関側を見たところです。
横から見た六華苑



玄関を横から見たところです。





(平成15年11月29日)

ジョサイア・コンドル

コンドルは、明治10年、日本政府の招聘に応じ25歳で来日しました。
当時の明治新政府は、西洋からさまざまな分野の専門家を招き、近代化を図っていました。
コンドルはそんな「お雇い外国人」として、工部大学校造家科(現東京大学工学部)の教授に就任、日本に初めて本格的な西洋の建築学をもたらし、多くの日本人建築家を育てました。
一方で、政府の要望に従い上野博物館や鹿鳴館などの、近代日本を象徴する多くの建築物を手がけ「日本近代建築の父」とも呼ばれました。

明治23年に官職を離れた後は、東京に建築事務所を開設、また三菱会社の顧問にもなり、67歳で死去するまで、三菱創始者岩崎家をはじめとする財閥や政府高官など、明治を支えた人物たちの邸宅を華麗な西洋館で彩り続けたのです。

そして明治44年、コンドル59歳の時、地方の青年実業家二代目諸戸清六から西洋館の設計を依頼されました。

(ガイドブック「六華苑」より)


玄関とホール 洋館の玄関とホール

玄関扉と車寄せは戦災の被害を受けたため修復されました。
コンドルの設計の洋館は1階の中心にホールを設け、その周りに部屋を配置するというスタイルが多いのだそうです。
2階の客間 2階の客間
2階のサンルーム



2階のサンルーム






(平成15年11月29日)

諸戸家について

諸戸もろと家は、加路戸新田(現三重県桑名郡木曽岬町)で代々庄屋をつとめていました。
しかし江戸末期、清九郎の代に塩の売買が失敗、2000両もの負債を抱えてしまいます。
清九郎の長子清六は、一家で移住した桑名で、父の死後18歳の頃から資金80両を持って米穀業を営み、わずか3年で負債を完済するほどの成功を収めました。
明治維新の後も新政府高官や三菱財閥などの知遇を得て事業を拡大しました。
また次々と田畑を開墾し、山林を植林し、日本一の大地主となりました。

一方で、当時飲料水事情が悪かった桑名に私財を投じて上水道を引き、一般市民にも開放するなど、桑名のまちづくりにも貢献しました。

明治39年、清六が死去すると諸戸家の土地財産は2つに分けられ、家屋敷は次男清太が相続します。
そして、当時早稲田の学生として東京で学んでいた四男清吾は呼び戻されて、18歳で二代目清六を襲名し家業を引き継ぎます。
やがて結婚し、明治44年、23歳になった二代目清六は、建築界の重鎮であったコンドルに設計を依頼し、この新居を完成させたのです。

(ガイドブック「六華苑」より)


和館 和館

明治期の洋風建築には和館を併設するという例が多く見られましたが、これほどの大規模な和館を接続させた設計は珍しいと言われています。
日常生活は和館が中心となっていたそうです。
一の間 一の間

メインの客座敷として使われていました。
日本庭園の眺めはここからが一番良いと言われています。
畳廊下と板廊下


畳廊下と板廊下


和館の周囲を巡るように板廊下が続いています。
この板廊下の内側に畳廊下が設けられています。



(平成15年11月29日)

施設の案内

入苑料
一般 300円 中学生 100円 ※小学生以下には付き添いを要します。

開苑時間
午前9時〜午後5時まで 入苑時間は午後4時まで

休業日
毎週月曜日
国民の祝日に関する法律に規定する休日の翌日
12月29日から翌年の1月3日まで

六華苑は、文化会・美術展・お茶会や会議など文化交流の場として利用できます。
詳しくは六華苑までお問い合わせください。
TEL:0594−24−4466

交通アクセス
JR・近鉄桑名駅からコミュニティバス「六華苑」バス停下車すぐ
又は路線バス市内A循環・B循環「田町」バス停下車後、揖斐川堤防沿いを北へ徒歩10分

歴史の案内人
より深く、より楽しく見学なさりたい方のために、六華苑や桑名の歴史に精通した「歴史の案内人」が苑内をご案内します。無料です。


お抹茶



六華苑では、お抹茶が飲めます。500円でした。
(手前にあるのが、ここで売っていたガイドブック「六華苑」です。)




(平成15年11月29日)


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