仁風閣 じんぷうかく

鳥取県鳥取市東町2丁目121番地


仁風閣 平成16年11月19日

重要文化財
仁風閣


鳥取市東町2丁目121番地
昭和48年6月2日指定

この建物は、明治40年5月、時の皇太子殿下(のちの大正天皇)の山陰行啓に際し、ご宿舎として、もと鳥取藩主池田仲博公爵によって、扇御殿跡に建てられた。
設計は明治建築最高の傑作である赤坂離宮の設計者として有名な宮廷建築家片山東熊博士によるものと伝えられ、工部大学校での片山東熊の後輩にあたる鳥取市出身の建築家橋本平蔵が補佐し、地元の工匠浜田芳藏が施工にあたったものであり、フレンチルネッサンス様式を基調とする木造二階建の本格的洋風建築で、中国地方屈指の明治建築として著名である。
櫛形ペディメントを主要なモチーフにした端正な正面のたたずまいに、屋上の棟飾りや階段室の八角尖塔屋根が変化を与え、背面一・二階吹抜けのベランダは、軽快で美しい構成を示している。
内部は御座所・謁見所・御食堂の主要室をはじめとして、一・二階の各室とも室内装飾に意が払われ、マントルピース(暖炉飾り)・カーテンボックス・シャンデリアなどの細部意匠にも見るべきものが多い。
殿下ご到着の当日に、鳥取県下ではじめて電灯が灯されるなど明治の文明開化を華々しくうたいあげた記念建築でもある。
「仁風閣」の名は、行啓に随行した東郷平八郎元帥によって命名されたもので、その直筆の額は、二階ホールに現在も掲げられている。

(説明板より)

鳥取城跡から見た仁風閣

仁風閣の建設

明治39年9月着工
明治40年5月11日頃竣工、わずか8ヶ月間の突貫工事
建築費29,362円、装飾・設備費5,740円、電灯費1,787円、庭園・果樹園費2,000円等
総経費は43,335円、当時の鳥取市の年間予算は約5万円でしたから、莫大な資金を投入して作られたことがわかります。

(参考文献:「仁風閣の周辺」)

仁風閣正面

螺旋階段 螺旋階段
二階から見下ろした螺旋階段

螺旋階段

この階段には支柱がありません。
ささらげた(階板を支えるわき板)が支柱の代わりをしています。
ささらげたは、削ったケヤキの厚板を6枚つないで出来ています。
全国的にもまれなものです。

(説明板より)

御寝室 御寝室
御座所 御座所
御座所 御座所

御座所

この建物のなかで、最も豪華なこしらえの部屋です。
落ち着いた彩色・柄の壁紙、天井紙に包まれて、イタリー産黒大理石のマントルピースが安定感を増し、柱左右の緑色タイルは当時世界的に有名なイギリスの陶芸家フラックスマンの作品で、右に王子像左に王女像が配してあります。
鏡枠は菊花彫刻がほどこされ、カーテンボックスの美しい花柄の彫刻と調和し、天井には5灯のシャンデリヤが豪華な曲線美を見せています。
寝椅子・座椅子はウルシ塗り、菊花の金マキ絵仕上げで、当時をそのままに表現しています。

(説明板より)

二階ベランダ 二階ベランダ
御食堂 御食堂

御食堂

この部屋は、明治40年5月に「仁風閣」を皇太子殿下御宿舎として使用されたとき、御食堂にあてられました。
調理場(この建物の南側、元お米蔵にあった)でつくられたお食事を、渡り廊下・らせん階段を経て隣室の供進所に運び、殿下がお席につかれてから差し上げたものと思われます。
フェンス内寝椅子などは、そのときのものです。

(説明板より)

謁見所 謁見所
仁風閣の額 「仁風閣」額

この「仁風閣」額は、明治40年(1907)5月、皇太子殿下山陰行啓のお供をされ、この建物を「仁風閣」と命名した東郷平八郎元帥によって書かれたものです。

庭から見た仁風閣

宝隆院庭園 宝隆院庭園

宝隆院庭園

11代藩主池田慶栄の逝去により、若くして未亡人となった宝隆院をなぐさめるため、文久3年(1863年)12代藩主池田慶徳が造った回遊池泉式庭園である。
久松山の自然を背景とした渓谷は美しく鶴の形をした池には豪壮な亀島を浮かべ地形の変化と幽玄なたたずまいに江戸時代末期の造園の極致をよく伝えている。
扇御殿(現仁風閣位置)に住まいした宝隆院が池をめぐり、春の桜、秋の紅葉をめでた往時がしのばれてゆかしい。

鳥取市教育委員会

(説明板より)

仁風閣後面

鳥取城跡から見た仁風閣 鳥取城跡から見た仁風閣

明治後の仁風閣

大正年間に入って、この建物は市の公会堂、県の迎賓館などに使用されましたが、昭和18年の鳥取震災の際、屋上に突出した煙突が折損落下し、スレート屋根に葺き替えられました。
昭和24年から47年までの約24年間は県立科学博物館として使用されましたが、この間、鳥取文化財協会を中心とした熱心な仁風閣保護運動が絶え間なく続けられ、昭和48年春に県立博物館の新築に伴い県から譲渡を受けた鳥取市は、同年6月に重要文化財の指定を受け、昭和49年から3か年間、約2億円で修理復元を行い、昭和51年、菊かおる文化の日(11月3日)から公開しました。
館内1階では、鳥取池田家の歴史をパネルで紹介するとともに、池田家ゆかりの品々などを展示しております。

(リーフレットより)


案内

開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館)、祝日の翌日、年末年始
観覧料:一般個人 150円 小・中・高校生 無料
交通:鳥取駅から徒歩30分、車で5分、バスで5分(西町下車徒歩5分)


仁風閣の周辺―白亜の洋館と池田公爵家のあゆみ―
平成16年11月1日 仁風閣 発行  定価500円(本体476円+税)


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